IFのIF あなたと一緒にいられるなら
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人間……、思わぬ再会(?)をすると、固まるものだ。お互いに。
ましてや、相手が……、元人間というか…なんというか…。
ただお互いに、相手を見て、固まった。
だがすぐに向こうが興味を失って、食事を再開した。
ガツガツ、ガリガリ、クチャクチャと、魔物の生肉を骨ごと噛んでいる。
「そんなに、僕って、あなたにとって、脅威ですらないんですか?」
カブルーの問いかけに、ライオス・ドラゴンキメラは、答えない。
***
今思えば、間違いなく一目惚れだったと思っている。
このことは、仲間にも言っていない。
あの金色に魅入られてしまった。
ライオス・トーデンという人間を一目見て、ガラにもなく惚れてしまった。
仲間には、裏表のないあの人の良い顔の化けの皮が剥がれるのを見たいなんて言ったが、惚れた弱みだ、そういう裏の顔だって見てみたいそう思ったからだ。好きになった相手を何でも知っておきたいと思って何が悪い?
なのに、ライオス・トーデンは、妹のファリン・トーデンの安直な思いつきで黒魔術で蘇生され、今や迷宮の魔物と化してしまった。
怒りと同時に、シュローが言うように迷宮から解放しなければと、彼が唯一攻撃しないファリンを盾にして人間の急所を狙ったものの、それでは死なず、魔物となった彼は逃げていった。
それがまるで、妹に自分を見て欲しくないと考えていたように見えた。
奥手なシュローなんかより自分の方が想う気持ちは強いはずだと自負しているつもりだ。
彼を殺せないと言って島を出て行ったシュローとは違う。必ずまた彼に出会い、そして迷宮の呪縛から解放したい。まだ見ぬ狂乱の魔術師の手から奪い取ってやる。
そんな中、トイレに行くために仲間から離れて行動していた時に、出くわした。
ドラゴンと鳥を合せたような巨体に、人間の上半身が生えた異形の姿。忘れるはずがない。
人間の上半身……ライオス・トーデンをそのままに、こんな異形に変えたあの魔法使いのエルフも、そんな彼を支配している狂乱の魔術師も許せない。
いつか必ず殺す。
……それよりも、まずは…。
「そんなに、僕は美味しそうに見えませんかね?」
まったくこちらに興味を示していない、ライオス・ドラゴンキメラに、ちょっと、イラッときていた。
好きの反対は、無関心とはこのことだろう。
試しに近寄ってみると、すぐ手が触れるほど近寄ってもライオス・ドラゴンキメラは、カブルーに興味を示さない。
ムカッときて、目の前の羽毛にモフッと手を乗せた。
すると、ギロッと、ようやくライオス・ドラゴンキメラの目がカブルーに向いた。
「ああ、やっと僕を見てくれた。」
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