IFのIF 永遠に
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。
「……ファリン?」
「ん? どうしたの?」
「いや、今何か見えたような…。」
「もしかして幽霊だったりして?」
「怖いこと言うなよ。」
二人はそう言って笑い合った。
その時だった。
スーッと、ゾワッと、何か白いモノが通り過ぎていった。
「えっ…、嘘だろ?」
「……。」
「ファリン?」
「あっち。」
「おい、ファリン?」
ファリンが、ライオスを置いて別の場所へ移動し始めた。ライオスは、すぐに後を追った。
広い通路に出ると、そこでライオスの脳裏にある映像がフラッシュバックした。
腐り落ちたレッドドラゴンの傍で、褐色肌のエルフに……。
「っ…。」
「兄さん。覚えてる?」
「えっ?」
ファリンが建物の壁に触れていた。
「ここでレッドドラゴンが倒れて…、ここで兄さんを蘇生させたんだよ?」
「何言ってるんだ?」
「でも、そのあと、狂乱の魔術師に、兄さんを取られちゃった……。悔しかったなぁ。」
「だから何を言ってるんだ?」
「その後ね…。兄さんが……、魔物にされて…。」
ファリンが顔を向けてきた。
その顔は、自分が知るファリンじゃない。そう思った。
背筋が…、ゾッとして、思わず後ずさりした。
「どうしたの? 兄さん? そんな怖い物を見たみたいな顔して…。」
「…誰だ…。おまえは?」
「私は、ファリンだよ? 兄さんの妹だよ。ねえ、ライオス兄さん。逃げないで。」
「来るな…。」
「兄さん。」
ジリジリと近寄って来るファリンに、顔を青くしたライオスは同じだけ後ずさりし、やがて建物の壁に背中が当たった。
背中に気を取られてハッとして前を見ると、それなりに距離があったファリンとの距離がすぐ目の前になっていた。
ファリンがライオスの顔を包むように手を伸ばして触れた。
そして口ずさむ、呪文を。眠りの。
途端、急な眠気に襲われたライオスは、膝を折り、ファリンにもたれかかって眠った。
「うふふふふふ。」
ファリンは、笑う。
彼女の周囲に、凄まじい数の幽霊達が集まってきていた。
「きっと、これは、運命だね。兄さんも元通りに戻ったし、あとは……。」
ファリンの手に、一冊の魔術書が舞い降りてきた。
「これさえあれば、ずっと一緒にいられる。」
ライオスを、膝の上に寝かせながら、ファリンは、愛おしそうに魔術書を撫でた。
ギロリッと魔術書の目がファリンを見る。
「今度こそ……、誰にも邪魔させない。」
***
かつて島には、迷宮と呼ばれた黄金の都があった。
それは地下に埋もれており、そこには、人間ではない魔物で満ちて
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