IFのIF 妹が美味しそうに見えて仕方ない
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
後まで言葉を言えなかった。
ライオスの口が、ファリンの喉笛を噛んでいたからだ。
***
ファリンが目を覚ました時、ファリンは血の海の中に裸で転がっていた。
「……にいさん?」
迷宮の主であるため、おそらく迷宮が迷宮の一部である魔物に襲われたファリンを再生させたのだろう。
周りを見回すと。
兄が……ライオス・ドラゴンキメラが床に転がって倒れていた。
駆け寄って、上体を見ると。
ライオスは、ケン助(動く鎧の剣)で自らの心臓を突き刺して死んでいた。
ファリンは、傍らで両膝をついた。
「馬鹿な兄さん…。」
ソッと両手をライオスに乗せた。
「兄さんは、私のモノなんだよ? 狂乱の魔術師のドラゴンのこと忘れたの? 迷宮の主の魔物だけは、魂が縛られるのを忘れたの?」
優しく言い聞かせるように囁きながら、ファリンは、黒魔術を発動させた。
するとみるみるうちにあふれ出ていた血がライオスの身体に戻っていった。
「…うぅ…。」
「兄さん。」
「! ふぁり…。」
意識を戻したライオスの頭を、ファリンが抱きしめた。
「食べたかったら、我慢しないでいいんだよ?」
「俺は…俺は…!」
「誰かの意見なんて気にしないでいいんだよ。」
迷宮の主であるため、ライオスの身に何があったのかすぐに情報収集できた。
「私ってば酷い妹。こんなに兄さんが苦しんでいたのに気がついてあげられなかったなんて…。」
かつて迷宮を攻略する冒険者だったから、やってくる冒険者達に優しくしたのがいけなかったとファリンは悔やんだ。
「ファリン…? 何を、考えてる?」
「兄さんは気にしないで。」
「まさか…、待て…、思い直せ…。」
「ココ(黄金の都)には、私と兄さんだけで十分だよ。」
「ファリン!」
「兄さん、生き返ったばかりで疲れたでしょ? 寝てて。」
「ふぁり……。」
ファリンの魔法により、ライオスは眠らされた。
さてとっと、ファリンは、ライオスを膝の上で寝かせたまま、かつて狂乱の魔術師が持っていた魔術書を召喚した。
そして、迷宮に大規模な改築をする。変動していく迷宮とともに、魔物の凶暴性も調整した。
大きく変動する迷宮によって外へあふれ出た魔物で、どれだけの被害が出るのかも考えず、ファリンは、ただ…兄のために迷宮を操る。
それは、かつて、デルガルのために迷宮を作り上げた狂乱の魔術師のように……。
***
月日が経ち、ある日、変動して様変わりした迷宮から、ボロボロの女エルフが脱出した。
女エルフは、息を引き取る直後に、言った。
『迷宮の主が狂ってしまった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ