第三十三話 獣人
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慌てて食べると喉が詰まるぞ。」
「うっせ!」
「何か温かい物を作ってやろう。」
「おい、勝手に動くな! 私を舐め…、ゴホッ!」
「むせて当然だ。粉の塊のような物を一気食いして。喉を潤す物が必要だ。用意するだけだから。」
「魔物を食わせようとしたら、殺すからな。」
「……分かった。」
そして調理が始まった。
まずドライアドの実を収穫した場所の近くに生えていたキノコ…。
よく見ると、足のような物が生え始めていた。
センシは、気のせいだと思いつつキノコを刻んだ。
火は、先ほどマルシルが料理をするのに使っていた火の魔方陣を使った。
小鍋に米とバター、ニンニクを炒める。
その中に刻んだキノコと、調味料。
水を加えて、しばらく煮込む。
魔物を使ってはいけないという条件なので味気ないものになってしまうなっと思ったセンシは、せめてチーズを入れることにした。
「完成じゃ!」
墓地でとったキノコとオークからもらったチーズのリゾットの完成。
「ここに置く。」
「誰がそんなもん……。」
しかし風下で匂いが鼻をくすぐった。
「ふん…。」
そしてアセビは、リゾットが入った食器をとった。
スンスンと匂い…、そして…。
「えっ…。」
スプーンを逆手で持ち。
クチャクチャと口を開けて食べ。
床で膝を立てて座り込み。
スプーンについた米を舐め。
しまいには、皿の底を猫のように舐め始めた。
「この子……。」
食事のマナーが悪い!!
「もっと寄越せ!」
「…東方のマナーって、こっちとは真逆なのかな?」
「いや、シュローがあんな風に食べてるのを見たことないだろ? 単純に育ちが悪いの。お前には珍しいか。」
そして、センシがリゾットのおかわりをついだ。
すると……。
アセビは、スプーンでキノコをすくい、床に捨てた。
「いま…なにを?」
「キノコ、嫌い。」
「スプーンを……。」
センシの声が低くなる。
「スプーンを正しく持ちなさい。」
「は? おい、それ以上近づいたらぶっ殺す!」
「スプーンを正しく持ち、いま床に捨てた物を拾いなさい。」
「んだ、てめえ。あ!!」
「ちょ、ちょっと! ダメ! 解除中に動くと危な…。」
その時、アセビの首にある呪術が動き出した。
凄まじい勢いで首の呪術から現れたのは、マイヅルの衣装と同じ衣装をまとった、鬼だった。
鬼は、手にしている包丁をアセビに振り下ろそうとした。
センシが体当たりし、アセビと共に床を転がり、包丁を避けた。
目を回すアセビ。その下敷きになるマルシル。
そんなアセビの手を握り、
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