第三十二話 シェイプシフター
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目つきが悪くて、浅ましい方。
「マルシルB!」
ハーピーの卵は食べたくない方。
「センシA!」
間抜けな顔の方。
「…っというけで、ニセモノの皆さんは、速やかに檻の方に…。」
「ちょ、ちょっとまったーーーー!」
「これが本物って、どういう判断だ!?」
「どう見てもあれはニセモノだろ!」
「なぜ、そう思ったの!?」
「色々とあるけど…。あとで説明するわ。まずニセモノを処理しよう。」
「あとでって……。」
「処理……、やっぱファリンに頼ったのが間違いだった。」
「自分の身は、自分で守るしかないようだな。」
そして、ニセモノと本物同士が争いだした。
それをファリンは、冷静に見ていた。
「やっぱり、誰を選んでもこうなる……。なら…。」
ファリンは、通路の先を見た。
そして、指を嘗め、風を確認。
敵は…、自分達が疲弊するのを待っているはずだとファリンは考えた。
ライオスなら、そう考えただろうと思い、通路の先を睨む。
だがそこには何もいない。見通しのいい通路であるが魔物の姿はない。しかしどこかに隠れているはずだ。こちらが見えて、聞こえている距離で。
「兄さん…、色々と教えてくれて、本当にありがとう。」
そう呟きながら、ファリンは、両膝をつき、両手を床についた。
そして…。
「わん!!」
吠えた。犬の鳴き真似で。
途端、争っていた仲間達が止まった。
「ヴオン、ヴォン!」
「い、犬? いや…。」
「あれは猟犬!?」
「うま…。」
ファリンの猟犬の真似は、実に上手だった。
ファリンの実家では、物心ついたときから色んな犬を見て触れてきた、色んなことを教わった。
狩りの仕方、自分達よりも強大な者への挑み方!
私が教えてやる!
お前は、狩る側ではなく、狩られる側だと!
そして、ファリンが吠え続けていると…。
「あっ! 見て!」
ニセモノの方がグニャリッと歪み、やがて葉っぱになって散り散りになった。
そして、シェイプシフターがその全貌を露わにした。
オオカミのような、けれどそれよりも大きくふっくらとした毛並み、何本も別れた尻尾。
ガアアアっと、シェイプシフターが唸る。
「グルルルル! ぐあああ!」
「ファリーン!」
そのまま、ファリンが猟犬のごとくシェイプシフターに飛びかかった瞬間、マルシルが爆発魔法をシェイプシフターの頭部に当て、頭を爆発四散した。
「…生きてるか?」
爆発の衝撃でファリンは吹っ飛ばされ、床に転がった。
「というか正気か?」
「うん。」
「言いたいことは山ほどあるが…。なんで武器を抜かなかった?」
「ちょっ
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