第三十二話 シェイプシフター
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チルチャックのチームが、肉を切り、卵と調味料を混ぜ合わせる。
この際、一方のチルチャックは、箱の上で作業を行っていた。
「……。」
「おい、なんのメモだよ!」
「やりづらいわ!」
「気にしないで、続けて。」
「気になるって…。」
次にマルシルのチーム。
卵を見ている。
「ねえ、これ何の卵?」
「ハーピーだが?」
「初めに散々言ったよね! 人型の魔物は絶対にダメって! 最近少しなあなあだったからって増長してない!?」
「……いつも通り…。」
一人は、いつも通り嫌がっている。
たして、もう一人のマルシルは…。
ドライアドの実の皮を剥いて、小さく切っている。そして、それを茹でる。
「あなたは、どう思う?」
「嬉しくはないけど…。魚人の卵や、ドライアドだって食べた。今更あんな騒がないよ。」
「……そう…。」
柔らかく茹で上がったドライアドの実からお湯を捨て、調味料と混ぜて、潰す。
続いてセンシのチーム。
「あのハーピーの卵は、どこから取ってきたの?」
「崩れた民家の内側に巣があってな。そこにある物をかき集めた。」
「へえ…。いいよね、卵。だって完全な…。」
「栄養食!」
ファリンとセンシは笑い合った。
フライパンに、具と米を弱火で炒め、味付けをする。
「お米は、シュローの大好物だったなぁ。」
「冒険者には必須の栄養素がたくさん詰まっている。手に入るとは、僥倖だった。」
「ねえ、あのさあ…。」
「なに?」
「なんか、センシ…のBの方…。なんか少しかっこよくない?」
言われてみれば顔が微妙に違う。
「…こんなもんだろ。」
「センシは、いつもかっこいいよ。」
「えーーー!」
「ドワーフにたいする偏見ってやつ?」
「センシは、こんな間抜け面じゃねーよ。」
「センシは、かっこいい…っと。」
メモをするファリンに、センシAは、焦った。
「そろそろ、料理が完成するが…。結論は出たか?」
「…うん。」
正直、かなり難しい。
だが不安にさせてはならないので、ファリンは虚勢を張った。
大体、自分達の頭の中の幻を見分けろだなんて…、ずいぶんと不公平だと思った。
人間に変化した魔物を探すというのならともかく…っと思っていると。ふと、ライオスの顔が脳裏を過ぎった。
「兄さんなら…、どうする?」
「完成じゃ!」
五階層の思い出ピラフ。
五階層丸ごとピカタ。
スイートドライアド。
の、完成である。
「みんな、食べながら聞いて。私が本物だと思ったのは…。」
ファリンは、指さした。
「チルチャックA!」
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