第二十八話 コカトリスの石焼きあんかけ
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
およそ四日間の間に、チルチャックが変動する迷宮の法則を見つけたと言った。
どこかが繋がって、どこかが塞がる。基本的にその繰り返し。
戸や家具の数、建物の種類は変わらない。
民家が墓地になるということもない。
便所が七つある。民家の裏には便所を失った民家が六軒あったはずであること。
壁は一定間隔で右巻きの渦状に動いて、石像の位置は方角含め固定。
その他諸々をふまえて…、チルチャックは地図を片手に皆を導いた。
そして…。
「あ! あの家…、みんなで竜を食べた場所だわ。」
「チルチャックすごーい。」
「まっ、こういうのも仕事なんで。」
「天才。」
「賢い。」
「かわいい。」
「耳が大きい。」
「やめろ!」
ポンポンと触ってくる手を、チルチャックが振り払った。
「でも、この道……。」
それを聞いたチルチャックは、ギクッとした。
そうこの道には、あのレッドドラゴンの血だまりが残っていた場所があるのだ。
あれを見られたらファリン達がライオスを探すために慌てるだろう。
どうなだめるか…、そう悩んでいたチルチャックだが、それは気鬱に終わる。
「ここだったよね。竜の死骸があった場所。」
「あれ?」
そこには何も無かった。
血だまりの跡も、もちろん死体も。
「壁のヒビは、炎竜が倒れたときに残ったものだろう。」
「そのヒビが塞がりかけてるわ。」
『魔術師の目が来るぞ。』
「!!」
壁の隙間から幽霊が出てきてそう言った。
「ファリン?」
「ま、魔術師の目が来るって…。」
「まじゅつしのめ?」
その時、微かな羽音が聞こえてきた。
「まさか、あの小型竜!?」
「身を隠さなきゃ!」
「いや、無理だろ! ここは見通しが良すぎる!」
「走って、マルシル!」
「……いえ。身を隠すなら…。」
マルシルは、チルチャックを後ろから抱え上げた。
「壁の中!」
「んぶっ!?」
チルチャックを壁に押しつけると、チルチャックは、壁の中にめり込んだ。まるで粘土のように。
「ほら、二人とも早く!」
「わ、分かった…。」
「これは……。」
そして、全員が壁の中に潜った。
そのあと、小型の竜が通り過ぎていった。
通り過ぎて数十秒ほどして……。
「ぶはああああああああ!!」
「おええええええ!」
壁の中からファリン達が飛び出し、必死に息をした。
「マルシル…、これは一体何の魔法?」
「魔法じゃないわ。」
「? あ…そっか……、クリーナーだ。」
「なに?」
「ダンジョンクリーナー。迷宮内のゴミを掃除して、破壊された場所を補修する生物(?)だよ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ