第二十七話 コカトリスの塩漬けとドライアドのザワークラウト
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「っというと?」
「ライオスには…、もう自分で回復する力が無かったわ。そこで私は、迷宮の一部を書き換えて、“この肉体は、迷宮の一部”だということにした。もちろん一瞬だけね。その一瞬の影響を感じ取ったのかも。」
その時、ズンッと地響きがした。
「また地鳴りだわ。」
「見てみよう。」
窓から外を見ると、今まさに壁が動いているのが見えた。
「うっ……。」
「ファリン? どうしたの?」
「ごめん…、センシの治療に魔力を使いすぎたかもしれない。」
「じゃあ、休んでて。私達で見てくるわ。」
「うん。」
マルシル達は、部屋を出て行った。
残されたファリンは、椅子に座り込んだ。
「……シュローなんて、大っ嫌い。」
誰も居ないことを良いことに、そう呟いたのだった。
***
しばらくボーッとしていると、マルシル達が戻ってきた。
ただし……、マルシルがコカトリスに噛まれて帰ってきた…。
「大変! コカトリスに噛まれたときの対処法をしないと!」
「そんなのあるの?」
「今から教えるから!」
まず、下履きを脱ぐ。下着はそのまま。
できるだけ肌を合わせるように床に座る。
脇を締め、指で耳を覆う。口も閉じる。
「うん…、よし! これでいつ石化してもだいじょうぶ!」
「石化しないための対処法じゃないんかい!!」
ツッコミのために動いた瞬間、マルシルは石化した。
「あー! すごく危うい姿勢で固まっちゃった!」
「早く石化を解く魔法を使えよ。」
「ごめん…。魔力が…。」
「どうするんだよ! 魔力が回復するまで待つってか?」
「石化を解く方法はいくつかあるわ。」
石化とは、毒と言うよりも呪いの一種らしい。
そのため、魔術抵抗力の高いエルフなら他の人種より回復は早いと思われる。
二つ目の方法は、石化を解く薬草。これは、ローストバジリスクを作ったときに使ってしまった。
あるいは、回復手段を持つ冒険者を探す。
最後は…。
「私の魔力が回復するのを待つ。」
「自然治癒ってどのくらいかかる?」
「トールマンなら、半年か十年。」
「で、魔力の回復の方は?」
「……。」
「コカトリスを取ってくる。」
倒したコカトリスをセンシが取りに行った。
他の案も期待しつつ、この場にとどまることになった。
「なんか、傾いてて危ないな……。」
なにせツッコミ体勢のまま固まってしまったのだ。体は斜め、倒れれば確実に腕は折れるだろう。
「尻になにか噛ませてるとかしたほうがよくないか?」
「そうだね。」
「わしに考えがある!」
センシが言った。
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