第二十五話 地上に戻る決意
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ャックとオーク族族長の妹君は、全員分の荷物を背負い、移動を始めた。
「そんな奴ら、まともな説得なんてできるか!」
「だから騙すのか? 他にもっとイイやり方がある。」
「嘘をつく程度で地上に帰れるなら上等だね! 俺は臆病だし、自分の命がいっちばん大事だからな!」
「ではなくて。素直に、死なせたくないと言えばいい。」
そう言われて、チルチャックは固まった。
固まったまま歩いていると、ふとレッドドラゴンの死体があった場所が目に映った。
そこには、血だまりから何かを引きずった跡が残っていた。
「置いていくぞ?」
「あ、ああ。」
***
そして、オーク達の集落に戻った。
「荷物、回収してきたぞー。」
っと言って、部屋の戸を開けると…。
今まさにセンシに押さえつけられたファリンがいた。
「わーっ! 何やってんだよ! まだ安静にしてろって。」
「どこもいたくない。」
「それは薬で痛覚が馬鹿になってるだけだ!」
「兄さんが…。兄さんが…、狂乱の魔術師に連れ攫われたのなら、まだ近くに……!」
「っ! 落ち着けって!」
センシと二人がかりでファリンが床に座り込ませた。
「……二人に話がある。」
「チルチャック。考えたが、わしは…。」
「まず俺から話をさせてくれ。」
チルチャックは、ファリンの前にしゃがんだ。
「ファリン。今のお前の心中は察するに余りある…。だが、これ以上探索は…、今の俺たちじゃ、無理だ。必ず、誰か死ぬ。」
「チルチャック…。」
チルチャックは、ぐっと下を向き、すぐに顔を上げた。
「ここは耐えて、地上に戻ってくれ。頼むファリン! 俺はお前達を失いたくない! お前が兄を思う気持ちにはかなわないかもしれないが、こっちは三人分だ! 狂乱魔術師を見たと言えば、島主が動くかもしれない! 金を集めて誰かを雇うのもいい! 準備があれば、もっと早くこの階層まで来られる! だから……、頼む……、引き返そう…。ファリン。」
「……実を言うと…。」
センシが言い出した。
「調味料などの一部食材もあとわずかでな。ライオスには、ちゃんと旨いものを食わせてやりたい。街に戻り、物資を補充すべきだ。」
「炎竜が倒れたと、使いを出した。」
そこへオーク族族長の妹君が来た。
「兄たちもいずれ戻るだろう。もしお前達が準備を整え再び戻ってきたなら。我々もできる限り協力しよう。」
「………分かった……。」
ファリンは、俯き言った。
「心配かけて、ごめんね。一度引き返そう。」
「うん…。」
そうして、地上に戻ることが決定した。
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