第二十五話 地上に戻る決意
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だ。この辺りの霊はまだ正気を保っている。姿を見せたい時だけ現れる。彼らの進む道は安全だ。ついていこう。」
「本当かよ…。」
しかし、ついて行くしか道がないチルチャックは、それを追った。
やがて外に面した通路を通るとき、チルチャックは気づいた。
その通路の下に、ものすごい血の跡が残っていることに。
「さっきまで、居た場所だ。」
下に落ちたはずなのに、なぜか自分達は、上にいたのだ。
「炎竜が消えてる…。まさか、生き返った…のか?」
「犬たちが警戒している様子はない。魔術師が消したか、持ち去ったかの、どちらかだろう。燃やした形跡があるな? 何をした?」
「料理を作るのに竜の腹の中を燃やしたんだよ。っても、そいつが止めなかったら、今頃爆発に巻き込まれて全員死んでたろうな。」
「仲間に恵まれているな。」
「そういう話じゃない。あいつ、そんな足が早くなかったのに、なんでかやたら足が早くなってたんだ。あいつが早くなかったら今頃、全員吹っ飛んでたところだった。結果的には成功したが、失敗してりゃただの間抜けだ! そういう奴らなんだよ。」
「そもそもどうやってお前達だけで、炎竜を倒した?」
「俺とセンシで、竜を引き付けて…。目を潰して…、その後、ファリン…、あ、仲間のトールマンが…、レッドドラゴンの懐に飛び込んで急所を突いたらしい。」
「ほー。それは素晴らしい。戦う者は勇ましくなければな。」
「あれは、勇気じゃない。成功したからいいものの、馬鹿な賭けだった。正直ゾッとした。こんな判断をする奴がこの先どうなるものなのか。」
今思えば、パーティーから抜けた仲間達は、賢かったかもしれないとチルチャックは言った。
「意地を張らず、俺も抜ければよかった。」
「そのために仲間を失っても良かったと?」
「どうかな? 案外…。俺がついていくなんて言ったせいで、アイツも後に引けなくなったのかも。」
それを聞いたオーク族族長の妹君は、キョトンッとした。
「それで、その後どうなった?」
「怪我や、なんもかんも治して……。この部屋で…。竜の肉を料理して食った。」
「それはいい。倒した者の特権だ。」
「まあな。」
そしてチルチャックは、荷物を整理した。
全員分の荷物を。
「魔術師が現れたのは、その後か。お前達はどうやって生き延びたんだ?」
「仲間の魔術師が攻撃をしのいでくれたんだ。」
「あの床に倒れていた耳長が!? あんな間抜けな顔をしていたのに。」
「実際間抜けだよ。怪しげな魔術まで使って、迷宮から出られたとしてもまともな人生が送れるとは思えない。………そう! どいつもこいつもアホでバカで大間抜けだ。無理をすれば報われると思い込んでる!」
チルチ
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