第二十四話 狂乱の魔術師
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ライオスが復活した夜。
城下町の建物のひとつに寝泊まりすることになった。
皆が寝静まった中、センシは、ひとりレッドドラゴンの肉を加工し、ボンレスハムを作っていた。
そんな中…、ライオスがパチリッと目を開いた。
そして、音もなく、ソッと起き上がり、窓の方へと行き外へ出た。
フラフラと歩く彼を、物陰から幽霊達が見ていた。
そして彼を止めようとするように服の端を掴むが、止められない。
やがてライオスは、死んでいるレッドドラゴンの傍にたどり着き、両膝をついた。
「そこにいたのか。」
冷たい声が聞こえた。
レッドドラゴンの傍には、褐色の肌に銀髪のエルフが立っていた。
「なんだ、その姿は。」
「う、ぅう……。」
「おまえには、陛下捜索の任を授けたはずだ。暇を与えた記憶無いぞ。」
冷たい声が浸食するように流れ込み、ライオスは、頭を抱え、ブツブツと呟きだした。
「デルガル様…、デルガル様を……お捜し、しなくては…」
***
ガタンッという音で、ファリンは目を覚ました。
「何の音だよ?」
「剣が倒れた。」
「もー、そいつ縛り付けとけよ。」
「ふう……。? 兄さん?」
ファリンは、異変に気づいた。
「ねえ、センシ。」
「なんだ?」
「兄さんを見なかった?」
「いや? ここを通ってはいないぞ?」
「!」
ファリンは、慌てて部屋に戻り、窓を見た。
「まさか、ここから?」
「どうしたの?」
「なんだよ?」
マルシルとチルチャックが寝ぼけ眼のまま起きてきた。
「兄さんがいないの。探してくる!」
ファリンは、杖と剣を握り、外へ飛び出した。
そして外へ飛び出し、しばらく走っていると……。
「うっ…?」
レッドドラゴンが…、骨を残して溶けていた。
その血だまりの中に、ライオスが頭を抱えて座り込んでいた。
「兄さん!」
すると、剣が震えた。
構わずファリンは、ライオスに近づいた。
「何があったの? ねえ、兄さん?」
「うううう……。デルガル、様……。」
「デルガル、さま?」
聞き覚えがある名前だった。
確か……。
「この地に…。」
「!」
ファリンの後ろにいた褐色の肌のエルフが語り出した。
「この地に存在する。建物、金貨、国民、家畜、血、肉……。お前が今踏みつけている砂粒ひとつに至るまで、すべてはデルガル国王陛下、その人の所有物である。」
エルフは、ファリンを睨んだ。
「汚らわしい盗賊が。……貴様…。」
「っ…、あなたは…。」
「見覚えがあるぞ。絵画の中をうろついていた。何
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