第十七話 テンタクルスの酢和え
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そう言ってファリンは、ライオスの愛読書を取り出した。
「これは、どうしたらいい?」
「うわ! なに握りしめてんだ!」
センシの左手には、テンタクルスの触手の一本が握りしめられていた。
しかもその手はパンパンに腫れていた。
「ちぎった際に手が麻痺してとれなくなった。」
「ノームみたいな手になってんぞ。」
「見せて。」
ファリンがセンシが握っているテンタクルスを見た。
触手の直径は五センチ前後で、長さは、二十メートル。
色は薄い茶緑で、斑点はない。そして、植物のツタや根に似ている。
「アイビーテンタクルスだわ。」
そしてファリンは、その対処法を言い出した。
酢で洗えば刺胞の動きを多少抑えられるので、酢を直接かける。
テンタクルスの種類によっては逆効果なこともあるらしい。
そして、断面へ十字の切り込みを入れ、縦に裂けば、刺胞のある上皮だけむける。
その結果…、いわゆるバナナみたいになるわけで…。
「割と美味しいらしいよ。」
テンタクルスの酢和えのできあがりである。
「ふざけてんのか?」
「あの…、これは豆知識で…。」
「それしか方法がないのなら仕方ない。」
「えっ?」
センシは、テンタクルスの酢和えを食べた。
「なるほど、悪くはない。ちゃんと調理すれば、もっと旨くなる。」
「私にも食べさせて!」
テンタクルスを食べる姿に、ナマリは顔を青くしていた。
「ん…、これは…。箇所によって味が違う!」
「さすがに気のせいだろう。」
「本当よ! チルチャック、食べてみて!」
「……酢の味しかしない。」
「そう…? マルシルも食べてみる?」
ファリンは、フォークにテンタクルスの身を一部刺して、寝ているマルシルに食べさせた。
「……酸っぱい。何このねっとりした…。何コレ?」
「ナマリも食べる?」
「えっ…。」
「ここがおすすめだよ。」
「いやいや! いいって! こっちは食料に困ってないから!」
「美味しいのに…。」
「旨くはないが。」
そしてファリンとセンシは、テンタクルスの調理について語り合いだした。
香辛料を使えば臭みを消せるとか、野菜との相性も良さそうだとか、煮込むか潰して焼くかすればとか語り合っていた。それを見ているナマリは、顔を青くしていた。
やがて中身の実を食べ終えたテンタクルスが、センシの手から離れた。
「すまんかったな。治療してやろう。」
「あ、私はいいです。」
「厚意は受け取っておけ。」
そしてタンスに、ファリンは治療してもらった。
「あの、それよりも魔力草を…。」
「おお、そうじゃったな。」
そう言ってタンスは、妻に目
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