第十七話 テンタクルスの酢和え
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在ではないのだと言う。
そして、タンス夫妻の夫の方が湖側の通路にナマリと共に出た。
「ウンディーネ! 偉大なる水の精霊よ! 我が声に応えたまえ。」
だがウンディーネは、答えとして…。
「ーー、ダメだこりゃ。」
「ん?」
タンス夫妻の夫の方がナマリの後ろに隠れた。その直後、ナマリの額の真ん中をウンディーネが水の弾丸で貫いた。
「タンスじーちゃん!」
すぐにカカとキキが助けに出て、ナマリの遺体とタンス夫妻の夫の方を助け出した。
「ダメだったわ。」
「ナマリ! ナマリが死んじゃった…。」
さすがに目の前で元仲間が死んだら気分が悪い。
「すぐ治るわい。」
耳をほじりながらタンス夫妻の夫の方が言った。
後ろにいるカカとキキは、あーっという顔をしていた。どうやらこんなことは日常茶飯事らしい…。
そしてタンス夫妻の夫の方が、呪文を唱え、ナマリの額の傷口部分に手をかざした。
すると、淡い光と共に、徐々に傷口が消えていき、あふれていた血も戻っていた。
そして傷が完全に消えた途端、ナマリの目に光が戻った。
「この、クソジジイーーー!!」
起き上がったナマリは、タンス夫妻の夫の方につかみかかった。
「いつもいつも、あたしばっか盾にしやがって!!」
「そのためにおまえにゃー、高い金を払っとる!!」
カカとキキが間に入って、暴れるナマリを押さえた。
「蘇生術か…。魔術の中で特に好きになれん。」
「蘇生には反対?」
「見ていて気持ちの良いものではない。死者は生き返ったりしないものだ。」
「迷宮の外ではそうだけど…、ここだと普通なんだよ。私だって蘇生術使えるよ?」
「普通ではない。普通ではないぞ、ファリン。」
「その通り!」
会話を聞いていたタンス夫妻の夫の方が声を上げた。
彼が言うには、この迷宮には非常に強い術が張られていて、人の魂を肉体に束縛する。おかげでどれだけ肉体が傷つこうが魂は解放されず、損傷さえ治れば元通りなのだそうだ。実際、みじん切りから蘇生した例があるのでその通りなのかもしれない。
そしてさらに語り出す。
彼が思うところによると、死んだ者が生き返るのではなく、ここでは死自体が禁じられているのだと。
「なんともおぞましい呪いよ。さておき…、私はそういった古代の呪術の研究をしていてな。この付近にある魔方陣の調査に来た。……が、ご覧の通り少々護衛が頼りない。調査を手伝ってくれれば、薬草なりを分けよう。」
「本当ですか?」
「しかし、お前さん…見たところ回復役じゃろう? 護衛には向かんな。」
「ううん。私もそれなりに前衛で戦えますから。」
「バジリスクも一撃で倒せるしな。」
「ほう? なかなかの実力
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