第十五話 クラーケンの寄生虫の蒲焼き
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全然こたえてない!」
いつもより巨大なクラーケンは、マルシルの魔法でも仕留められなかった。
センシがクラーケンの足を斧で切りつけたが、表面をちょっと切っただけに終わった。
「ウーム…。武器では薄皮一枚が関の山か。」
クラーケンの足が暴れ回り、何かがチルチャックの手に落ちてきた。
「ゲッ!」
それは、魚類型の人魚の頭だった。先ほどクラーケンに食われたのである。
センシは、浮いている魚類型の人魚が手にしている銛を手にした。
「マルシル。もう一度魔法を頼む。」
「えっ!? あんな大きいの、連発は無理よ!」
「違う。“これ”でいい。」
そして、センシは、マルシルと共に陸地に上がり、走った。
「本当に本当に、その作戦でだいじょうぶ!? そもそもクラーケン見るのも初めてでしょ!?」
「クラーケンは、知らんが……、イカとタコなら捌いたことはある。」
そして作戦が決行された。
「マルシル! 行ったよ!」
クラーケンがマルシルの方へと移動した。
そしてその胴体がわずかに水面から出てきた直後を狙って、マルシルが杖を振り下ろした。
「水上歩行!!」
途端、クラーケンの巨体が水の中から飛び出て、水の上に投げ出された。
そこにセンシが走ってきた。
「イカ・タコを締める時は! 目と目の間!」
大きく跳躍したセンシが手にする銛の先端が、クラーケンの目と目の間に深々と突き立てられた。
暴れていたクラーケンが急に動かなくなり、グニャリッとなって水の上に伸びた。
「ファリン? ファリン! どこ!?」
「ここだよ…。」
ファリンは、クラーケンの足に絡み取られていた。
助けられたファリンの周りには、クラーケンの足に絡まっていて、周りに散らばた魚類型の人魚の死体があった。
「このクラーケンが中型の魔物を食べていたのね…。」
「二人とも、ちょっと来い。」
センシに呼ばれ、ファリンとマルシルがクラーケンをよじ登ってセンシのところへ行った。
「お前達は一度魚介を捌いてみるべきだ。イカ・タコは、ここを抉ると綺麗に締まる。」
つまり急所ということだ。
「それから…。」
センシは、少し移動し、胴体の一部を斧で切り裂いた。
「やはり軟骨が通っているな。魔法なら、腹ではなく、頭を狙え。」
「ん? ここが頭じゃないの?」
「頭には、内臓がある。人で言えば胴体だ。」
「あ、そう…。」
イカやタコの頭は、足と胴体の中間にある。もっと言えば、目と目の間だ。
「イカやタコって…、美味しいの?」
「えっ? ファリン…、食べたことないの?」
「うん。売ってるのも見たことがない。」
「うっそ! すごく美味しいのに!」
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