第十話 手作り魔除けのソルベ
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「いや、今から作る。」
「作るって言ったって…。あんた、聖職者かよ。」
「世界には、様々な魔を祓うための伝承がある。」
例えば、火。
暗闇を祓い、生み出す力にも、奪う力にもなる火は、古今東西より魔除けや神聖なものとして用いられてきた。
センシは、四本のロウソクを立てると火を灯し、その上にランタンの器をかぶせ、その上に小鍋を乗せた。
「それは確かだけど…、ロウソクの火だけじゃ…。」
「ひとつひとつの力は小さくとも、数が揃えばそれなりの力となるだろう。」
次にセンシは、宝虫の巣のジャムを取り出した。
例えば、黄金の甲虫。
その習性から太陽と、その神を象徴とするとして崇められた。
そして宝虫の巣のジャムを水を張った小鍋に入れていった。
例えば、酒。
神に供える物としては欠かせないし、殺菌作用もある。
スプーンで何匙か酒を加えていった。
例えば、塩。
厄除けや身を清めるために用いられる風習がある。
…ついでに砂糖も加えた。
「効き目が薄そうだから量も多めに。」
「メチャクチャ適当だな!?」
「他には、ハーブだとか。生き物の内臓だとか。これらに火の力を加えれば……。聖水の完成じゃ!」
「霊が来たわ!」
「ファリン!」
杖を構えたファリンが霊を追い払っていく。。
だが次々に壁をすり抜けて霊はやってくる。あまりの数にファリンは息切れをしていた。
「聖水を詰めた瓶はしっかり密封する。」
「密封!? 使わないのか!?」
「まあ待て。ヒモで縛って…。」
「センシ! 早く!」
そして、センシは、瓶詰めの聖水を縛っているヒモを握り、振った。
すると霊は切り裂かれるように散っていった。
「すごい!」
「あんなんでも効き目あるのかよ…。」
そしてセンシが次々と霊を散らしていき、やがて霊はいなくなった。
「し、霜ついてる。」
霊を退け終えた聖水は、霊の冷たさによって霜がつくほど冷えたようだ。
そして。
「む、これは…、アイスができたな。」
「まあ、壁をすり抜けるんだし、瓶詰めでも関係ないのかもな。」
ただまき散らすよりは効率的なのかもしれない。
***
取り皿に凍った聖水のソルベをとりわけた。
「霊に触りまくった物なんか食べて平気なのか?」
「あんな力の強い聖水を口に入れるのも問題ありそうな…。」
「美味しい。」
「あっ! ちょ、ファリン!」
ファリンが警戒無く一口食べたのでマルシルが声を上げた。
ファリンが先に食べたので、他の面々もソルベを口にした。
「ほんとだ。美味し
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