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ダンジョン飯で、IF 長編版
第十話  手作り魔除けのソルベ
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 宝虫のおやつを食べながら、ファリン達はどんどん進んでいく。
「いつまで食べてるの?」
「結構量があって…。」
 ちびちびと、宝虫の巣のジャムサンドを食べているファリンにマルシルが言った。
「そんなことしてたら、霊が出たときにはすぐ対応できないぞ?」
「だいじょうぶだよ。」
「頼むぜ、ファリン。霊の類い相手は、お前の得意分野なんだからな。」
「うん。分かってるよ。」
「そうなのか?」
「ええ。ファリンは、霊の扱いがとても上手なのよ。」
「チョイチョイと、パンパンって、簡単にやりやがる。」
「ほう。それはたいしたものだ。」
「そんなたいしたことじゃないわ。あっ…。」
 歩きながら会話していると、ファリンがジャムサンドを落とした。
「もったいない。」
 ファリンがしゃがんでそれを拾おうとしたとき、床からヌウッと半透明の手が伸びてファリンの手を掴んだ。
「きゃっ!」
「ファリン!」
 短く悲鳴を上げたファリンだったが、すぐに手をかざして霊の頭部に当てて、霊を追い払った。
「だいじょうぶ!?」
「うん。」
「驚いた。あんなに簡単に霊を退けるとは…。」
「ちょっと待ってね。」
「何をする?」
 立ち上がったファリンがセンシに手を伸ばしてきたので、センシがそれを制した。
「霊が取り憑かないようにするの。」
「あ、やってやって。」
「俺も頼む。」
「わしは…遠慮する。」
「ちょっと、霊の取り殺されるよりはマシよ? こんな時に魔法嫌いなんてしてたら…、っ。」
 嫌がるセンシを説得しようとしていたマルシルは、背後の廊下の向こうから冷たい気配を感じ取った。
「…いる! 走って!」
「ファリンにやらせればいいだろ?」
「数が多いわ! こんなところでファリンの魔力が尽きたら終わりよ!」
「私はだいじょうぶ!」
「ダメよ、あのドラゴンと戦うためにもとにかく力を温存しとかなきゃ!」
「っ!」
「じゃあ、どうすんだよ!?」
「とにかく逃げるのよ!」
 ファリン達は、とにかく走った。
 あちこちでヒソヒソと声が聞こえてくる。
 どうやら先ほど見つけた別の冒険者パーティーの死体に引かれて霊が集まりつつあるらしい。一応処置をしておいたのでゾンビ化することはないだろう。
 走り続けたファリン達は、廊下にあった扉の一室に逃げ込んだ。
「どうするんだよ? このままじゃじり貧だぜ?」
「やはり、簡単に死人から逃れることはできんようだ。」
 するとセンシが荷物を降ろし、中から道具を取り出し始めた。
「何を…。」
「魔除けを用意する。」
「魔除け? できるの?」
「聖水だ。」
「そんなもの持ってたの?」

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