第八話 オークと一緒に作ったパン
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え……?」
大柄な男が倒れ…、そして背後から現れたのは…。
「お…、オークだ!!」
小柄な男はたまり場の中に逃げ込んだ。
毛深く、頭に小さな角、そして口から飛び出すほどの牙を持つ亜人種・オーク達が武器を手にたまり場になだれ込んだ。
「武器を持った者から殺せ! 一人として生かしておくな!」
オークのリーダーらしき者が指示を出していく。
ファリン達は、隅っこで尻餅をついていた。
「なんで、オークが? オークはもっと深い階層にいるはずじゃ……。」
「そんなことより、早く逃げ……。」
その時、オークのリーダーがマルシルに近づいた。
「マルシ…!」
「待て。」
センシが待ったをかけた。
するとオークは、キャベツを拾い上げ、センシに投げた。
「どうしてお前がこんなところにいる、センシ。」
「それはこちらも聞きたい。」
どうやら面識があるらしい。
「こいつらはお前の知り合いか。」
「そうだ。」
「お前が人間やエルフとつるむとはな……。」
「と、得意先って…、ひょっとして……。」
「彼らのことだ。」
「ぬーーー!」
「どうせそんなこったろうと思ってたが、オークか…。せいぜいゴブリンだと…。」
「私はコボルトだと思ってた。」
迷宮には多数の亜人が住んでおり、オークもその一種である。
だが、次の瞬間、ファリン達にとっては、重大な言葉が出た。
「赤い竜が出た。」
っと。
「以前ならば滅多に姿を見せなかった赤い竜が、ここしばらく我々の集落の近くに現れるようになった。集落には戦えない者もいる。一時的な避難としてこの階層までやってきた。」
「赤い竜って、まさか…。」
「その竜、どの辺りで見たんですか!?」
「お前らに我らの集落の場所を教えろと? 断る。」
詰め寄ってきたファリンに、オークのリーダーは、すげなく断った。
「お頭。中は片付いた。」
「よし、使えそうな物は全て運び出せ。」
片付いたと言うことは…、つまりたまり場の人間達は全滅したということだ。
そしてファリン達は、床に座らされ、オークがたまり場を物色しているのを黙ってみていることしかできなかった。
「なんだこりゃ? 腐った乳か?」
「捨てていけ。」
そんな言葉が聞こえ、センシが反応した。
「……それは、お前の作った農作物だな。見ての通り、物入りでね……。よければそれを分けて欲しい。」
「物々交換か? ならばこちらは……。」
「いいや。言っただろう。今、我々には余裕がない。友にこんなことを頼むのは心苦しいが。」
周りには武装したオーク。そして自分達は作物を持っていた両手が塞がっている。
「せ、センシ…。」
「…
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