第五話 大コウモリの唐揚げと、マンドレイクのかき揚げ
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」
そしてセンシは、その油の中におたまですくったマンドレイクを入れた。
「崩れない程度に揚がったら、ひっくり返す。いいな!」
「わ、分かった。」
大コウモリの唐揚げの準備をするため、センシはその場から離れ、チルチャックに後を任せた。
チルチャックは、油の中で揚がっていくかき揚げの様子を見た。
そろそろかと箸でつつく。
しかしまだ揚がっていなかったのか、少し崩れた。
火力が弱いのかと思い、仕掛けを動かして火の勢いをあげた。
すると、今度はかき揚げが焦げてしまった。
「どうだ。調子は。」
「全然ダメ。代わってくれ。」
「火の罠はお前の領分だろう。」
「火力はともかく揚げ加減は、料理の領分だろ! 火が弱いとベチャベチャになるし、強すぎるとあっという間に焦げる。」
「ならば、罠の領分ではないな。……そろそろではないか?」
センシに言われ、チルチャックは、かき揚げを箸でつまみ上げた。
すると、綺麗にカラッと揚がったかき揚げができていた。
かき揚げの後、大コウモリの唐揚げも作られ、マンドレイクの葉っぱの上に盛り付けられた。
「完成じゃ!」
「こんな迷宮の中で、揚げ物が食べられるなんて思わなかった。」
ファリンは、そう言いながら箸で持ち上げたかき揚げを食べた。
サクッと音を立てて、マンドレイクのかき揚げがかみ切れる。
「うん。すごく上手く揚がってる。」
「火力が良かったからだ。揚げ物は適切な温度でサッと揚げる。これでカラッとできる。焚き火でやろうと思うと中々難しい。」
「焚き火でやろうとは、思わないけど…。」
「この辺りはよく歩くが、こんな便利な部屋があるとは知らなかった。」
「言っとくけど! 俺がいない時は、マネしようとするなよ! 間違いなく死ぬから!」
「分かっている。お前の罠の扱いはマネできぬ技術だ、チルチャック。本当に、本当に素晴らしい。この先、お前達と分かれるとき…、もう一人ではあれを扱えないと思うと残念だ。」
「………仕方ねぇなあ! これから空いた時間に少しでも罠のこと教えてやるよ!」
「いいのか?」
「あんまり気は進まないけどさ。ま、センシも料理のやり方教えてくれたし。」
そして、食事の後片付けの最中などに、チルチャックは、罠空間を使ってセンシに罠のことを教えたのだった。
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