第五話 大コウモリの唐揚げと、マンドレイクのかき揚げ
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大な刃物が振ってきたり、矢が飛んできたり、センシの横から炎が吹いてきたりした。
「なんという火力。なるほど、罠というのは多彩なのだな。」
「早く足どけろって! 火罠の傍には大抵油や燃料の仕掛けがセットだ!」
「油…。」
「ドワーフの丸焼きなんかごめんだぜ!」
「丸焼き…? いや、違うな。」
「は?」
「唐揚げ…。フライ…。かき揚げ!! 今日の昼食は天ぷらにしよう。」
なぜかセンシは、罠からその発想を展開したのだった。
「その油の仕掛けはどこにある?」
「……絶対…食用じゃない…。」
あまりのことに言葉を失っていたチルチャックが言った。
「それは、見てみないと分からないだろう。ハーフフットの子供、お前は油の専門家ではあるまい。」
「子供ではないです……。」
「油にもいろいろな種類がある。その中でも植物性油は最も供給量が多い。ともかく現物を見たい。食用油でなければ諦めよう。」
植物性油とは、例えばサラダ油などの菜種やオリーブなどがあげられる。ラードなどは動物性だ。
「…………分かったよ!! その代わり!」
チルチャックは、センシを指さし叫んだ。
「今度は罠のそばでは、絶対、俺の指示に従うこと!! この条件を守ってもらえないなら協力はしない!!」
「誓おう。必要とあらば手伝いもする。」
「それはいらん!! いいか、それぞれの領分ってモノがある。あんたは、料理、俺は罠解除や鍵開け、マルシルとファリンは魔法。俺もあんたの調理方法に口を出したりしない。だから、あんたも俺の仕事には一切関わらないでくれ。」
「……では、そうしよう。だが、料理の注文や手伝いなら、わしは歓迎するぞ。」
「…誰が……。」
チルチャックは、頭を押さえた。
***
そして、油を取るべく、この罠空間の先にある鉄格子の一つの中にある宝物庫に入った。
やたら罠が多いのも、ここを侵入者から守るためだろうとチルチャックは言った。
浅い層なのでとっくに中身は無いが、箱の中の罠は生きている。
その中の一つを足で蹴り、床が固定されているか確かめる。
「ちょっと、あっち行ってろ。」
チルチャックは、後ろにいるセンシにあっちへ行けと言った。
「普段は一番大人なんだけど。」
「罠は一瞬で命を奪うモノが多いから…、仲間全員の命を預かるという気負いが神経を尖らせてるのかも。」
「…ふむ。」
三人がそう会話している間にもチルチャックの罠解除の作業は続いた。
箱をほんの少しだけ空け、そこに手を突っ込む。
そして油の噴出口を確認し、糸巻きを取り出すと、口で糸を出して中に糸を通していく。そして宝箱の上から後ろへと糸を引っ張った。
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