第三話 ローストバジリスク
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少し深層にいるコカトリスは、同じ尾蛇種の別種だから、食べ比べできたらいいなぁ。燻製とかにすれば兄さんのお土産にできるし。」
「そんな欲望を…。」
少しうっとりとしてうんうんと頷くファリンに、マルシルとチルチャックは、なんとも言えない顔で見ていた。
***
こうしてバジリスク探しが始まった。
センシがバジリスクの巣の場所をだいたい把握しており、その辺りを探索することになった。
センシが言うには、バジリスクは、二、三日おきに卵を産むらしく、そのほとんどは無精卵らしい。それを踏まないように注意しながら歩を進めた。
やがて、壁が壊れたレンガ作りの建物の中に卵があるのをセンシが発見した。
「なんか、長くない?」
「はい、マルシル持って。」
「なんか、柔らかくない?」
バジリスクの卵は、一般的な鶏の卵とは異なった。卵形ではなく、楕円をへこましたような長い形をしており、殻も柔らかかった。
その時、クェーンっという長い鳴き声が聞こえてきた。
「バジリスクの、威嚇音だわ! 急ごう、センシ。」
「待て待て。こいつは、布で包んで…。」
すると、女性の悲鳴が聞こえてきた。
慌てて見に行くと、反対側の木のウロで食事をしていた別の冒険者パーティーがバジリスクに襲われていた。
「ギャー!」
逃げていた剣士の男が背中をバジリスクの蹴爪で引き裂かれた。
「あの逃げ方は、まずいよ。背中を蹴ってくれって言っているようなものだもの。」
「なら、早く助けてあげたら?」
「うん、そうするわ。センシも手伝って。あのバジリスクを仕留める!」
「任せろ。」
ファリンは、杖を握り、センシも準備した。
別の冒険者パーティーの魔法使いの女性と、先ほど背中をやられた剣士の男は、木の根元まで追い詰められていた。
そこへ。
「クエーーーーーッッ!!」
バジリスクの背後から、ファリンが両手と両足を広げて大声を出した。
「手足広げて見せて…、身体を少しでも大きく見せる! 大きな音を出して、威嚇する! 兄さんが教えてくれたバジリスクに距離をすぐ詰められないようにする方法だよ。」
「……チルチャック、今だけ他人のフリしてよっか…。」
端から見るとかなり恥ずかしい状態ではあるが、効果はてきめんで、バジリスクは、羽根をブワッとふくらませて威嚇の声を出しながら止まっていた。
バジリスクの鶏側が完全にファリンに釘付けになっているところに、蛇側、つまりバジリスクの背後からセンシが忍び寄った。
するとたちまち尾の蛇が威嚇し、鶏側がセンシの存在に気づいた。
そして次の瞬間。
大声を上げて、ファリンとセンシがバジリスクの
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