最終夜「風景」
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害も日照りも乗り越え、戦争の時でさえ残った木なんだ。他は全部枯れたり、焼けたり、雷に打たれて倒れたりしたそうだよ。」
「へぇ…そんな凄い木なんだ!」
男の子はそう言うと、立ち上がって大銀杏の幹に小さな手を回した。
「あ…何だかあったかいや…。」
「そうだろう?この大銀杏はね、私達をずっと見守ってきたんだ。これからもきっと、ここで見守ってくれるんだよ。」
老婆はそう言って立ち上がると、孫の頭を優しく撫でた。
ー あぁ、こうして?生?は繋がれている…。ー
大銀杏は喜んだ。あの凄惨な時代を人々は乗り越え…こうしてまた、笑顔を取り戻している。
それが堪らなく嬉しかった。
ー 私のこの?生?が尽きるまで…見守ろう…。ー
大銀杏は堅く決心する。たとえ動けずとも、一時の安らぎを与えることが出来るのならば…これもまた、悪くはない。
時代は必ず移ろうものだ。同じ時など在りはしない。善かれ悪かれ変化し続ける…それもまた?生?なのだ。
木は木であり人は人…それでも大銀杏は思うのだ。
ー この人々に幸多からんことを…。ー
大銀杏はこの風景に満足し、また微睡みに入る…次はどうなっているかは考えず。
ただ、人々を愛しながら…。
end
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