第三章
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「その必要ないよ」
「そうだよな、だからな」
「剃らないんだね」
「大抵の奴がそうだろ」
男の身なりをしている男ならというのだ。
「剃るのは髭位だな、相当コンプレックスあるとな」
「毛深さにだね」
「剃るかも知れないな」
「西洋人なんかもっと凄いよ」
所謂コーカロイドはというのだ。
「もうね」
「髭とか胸毛とかな」
「脛毛だってね」
「かなりだよな」
「あの人達が僕みたいな服着ようとしたら」
「もっと大変か」
「毛の手入れがね、けれどこの姿の時が本来の僕だから」
女装、その時がというのだ。
「だからね」
「これからもか」
「ちゃんとね」
まさにというのだ。
「毛の手入れもしていくよ」
「そうか、頑張れよ」
「そう言ってくれるんだ」
「友達だからな」
友人は天羽に素っ気ないが暖かい声で返した。
「そうするさ」
「そう、有り難う」
天羽は友人の今の言葉と心に微笑んで応えた、そうして彼と一緒に昼食を食べてそれから恋人のところに行くことにした。
だが友人と別れる時にだ、彼に微笑んで言った。
「嫌なことを言う奴もいるけれど」
「御前の女装にか」
「あの暴力教師みたいにね」
「そいつ結局どうなったんだ」
「暴力で懲戒免職になったよ」
天羽があちこちに通報し拡散したそれでだ。
「個人情報もネットで出たし」
「じゃあ破滅したんだな」
「完全にね、もう何処にいるか」
「そうか、自業自得だな」
「そうした奴もいるけれど」
それでもという口調で言うのだった。
「君みたいな人、それに彼女もいてくれるから」
「いいっていうんだな」
「僕も本来の僕のままでいられるんだ」
女装したその姿でというのだ。
「君にも僕を理解してくれている他の人達にも感謝してるよ」
「そうなんだな」
「うん、じゃあね」
「ああ、彼女のところ行ってこいよ」
「そうしてくるよ」
優しい、美少女を思わせる微笑みを浮かべてだった。天羽は友人と別れ彼女のところに向かった。彼にとって有り難い理解者と理解者の間を行き来出来ている彼は幸せも感じていた。
優しい理解者 完
2018・9・27
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