第七話 椎堂ツムグの決意 その1(※一部書き換え)
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ニュー回数といったところだ。
現在いるレイが死ねば、その魂は、このレイ達の中のいずれかに移り、レイは蘇生するというサイクルになっているのだろう。
つまりネルフから離されて自殺を図ったレイが仮に自殺に成功したとしても、消えたいいう願いは成就されず、恐らく最低限の記憶だけ受け継いでそれ以外はリセットされるなりして、別人のレイとしてこの世に連れ戻されていたのだ。
そういう意味では、シンジが勇気を振り絞って今いるレイに手を差し伸べたのは幸運だったいえる。
恐らくレイは、死ねばこうなることを知らなかったのだろう。だから安易に自殺に走ったのだ。
「なんて…、酷いというか…、奇妙な運命だなぁ。」
ツムグは、ゆっくりとした足取りで水槽のガラスに近づき、片手を添えた。
ツムグの姿を認識した無垢なレイ達が水槽の中で漂い、泳ぎながらガラスの向こう側にいるツムグに純粋な好奇の目を向けてくる。そのさまはさながら人懐こい動物のようで、ツムグは、思わず微笑んでしまった。
「はあ…、ネルフの資金が最低限で、しかも停電状態でここだけしっかり稼働してるってことは…、シンジを捨てた馬鹿親父の独断だな。どんだけ奥さんに執着してんだ。子供を見習えよ。このまま放っておいたら、間違いなくあの子(※現在いるレイ)が暗殺なりで殺された場合ここに移るから…、ダメダメ、あかん、せっかく育ち始めた甘酸っぱい少年少女の物語にドロドロの臭いどぶのヘドロをぶっかけるなんてできるかぁ!」
ツムグは、片手の発光を止め、ガラスに添えていた手を握り、握りこぶしを作った。
ツムグは、暗くなった部屋の中で、水槽から数歩後退った。
彼の赤と金の髪が青白く発光する。その光は全身に広がり、部屋を眩しく照らした。
「何が正しいかなんて、分からるわけない。けど…、これが……、俺の決意だ!」
ツムグは、そう叫び、青白い熱線を纏った右腕を振りかぶった。
熱線で焼き尽くされるレイ達を管理している水槽と、レイの基となる素材。
地球防衛軍の技術力をもってしても再生は不可能なほど念入りに破壊した。
……ただしここで何があったのか、ここに何が隠されていたのかは、“カイザー”である尾崎が全力でサイコメトリーすれば分かるだろう。自分がレイ達を殺したことと、破壊した件についてはその時に話し合えばいい。
人間の罪から作られた外では生きられない悲しき命達を独断で殺した事実は変わりないから。
「は〜あ…、俺ってさ、人間でも怪獣でもない…。俺が“椎堂ツムグ”になったあの日が俺が俺だという記憶の始まりで、40年以上生きてて…、どうすればいいのか、どうなりたいか…、何にも決めてなかった。その場に勢いと気紛れで周りに流される適当な生き方してた。『おまえは、何も考え
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