第五話 ゴジラはどこへ行った?
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ふと別のことに気が付いて目を丸くした。
「あ、アハ…、そっか。そうだよな。人間のことは、人間で解決した方がいいって言ったの俺なのに、忘れてた。ゴードン大佐に怒られちゃうよ。アハハハ。」
そしてまた笑い出す。
「あいつは、何を笑い転げてるんですか?」
「さあ? G細胞完全適応者の考えていることなんて、40年以上たってるがいまだに分かってないから、さっぱりだ。」
ツムグは、G細胞完全適応者なので監視されている。しかしこの監視はあんまり意味がないのだが、一応形式上はやっておかえなばならないことである。
監視カメラを見ている研究者達が、ツムグの…、いつもの奇行にそんな会話をしていた。
ツムグは、G細胞のおかげか特殊能力を持つミュータント以上に普通じゃ分からないことを見て聞こえているので、他人から見たらただの奇行にしか見えない行動や言動が多い。ツムグの細胞の研究で付き合いが長い研究者達は、すっかり慣れていつものことと思ってしまっている始末である。
***
シンジは、食堂でパートとして働くことになってからもう何日も経った。
覚えが早く手際がいいシンジは、初めての仕事とはいえすぐに仕事を覚え、大人達の中で頑張って仕事をしている。
その頑張りが認められ、職場の人達と打ち解けるのにそう時間はかからなかった。
「ふう…。今日もいっぱいがんばった…。」
仕込みも後片付けも終えて、地球防衛軍から借りた寮の一室に帰ろうとしていた。
いまだ風間に対してちょっと苦手意識が働いて避けがちだが、そのことで怒られることはなく、尾崎から風間は避けられていることについては気にしてないと聞かされていた。だが勝手な理由で関係ない相手を避けてしまうのはシンジの気持ちが許さない。なんとかできないものかと自分なりに考えているが、そう簡単に直るものじゃない。
シンジは、そのことで溜息を吐きながら歩いていると、ふと足を止めた。
進もうとした先の分かれ道を、見た覚えがある青い髪の毛の少女がゆっくりとした足取りで歩いて行くのを見たのだ。
あまりにゆっくりとしかも俯いて歩いている姿に、一瞬幽霊かと思ってしまいそうになるほどだった。
「あの子は、あの時の…、どうしてここに? どこへ行こうとしてるんだ?」
シンジは、あの少女が初号機に乗せられる直前に初号機のドッグに運び込まれてきた大怪我を負っていた少女だというのを思い出した。
すっかり怪我は治っているようであるが、どうも様子がおかしい。
シンジは、嫌な予感がして咄嗟に彼女の後を追いかけていた。
***
一方そのころ。
人気のない基地の建物間で、尾崎、音無、風間の三人がいた。
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