「これが『きもかわいい』というものなんですね」
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真摯に問いかけられるシノンからの問いに、アルゴはどう答えたものか思案する。普通なら情報量がどう、などと言ってごまかすところだが、目の前のスナイパーは簡単にはごまかされてくれそうにない。
「……オレっちと二人が組んでた時の話、聞いてるカ?」
「いいえ、詳しくは」
「そういうことだヨ。オレっちがアーたんたちと特に組んでたのは、ゲーム初期から中期と、あの事件の後……攻略が辛い時ダ」
「あ……」
アルゴがため息ひとつとともに語りだした言葉に、シノンは事情を察したように吐息を絞り出した。あのゲームに参加していないシノンには預かり知らないことだが、ビーター、後にラフコフと呼ばれる者たちの台頭、エルフたちとの別れ、軍の壊滅、二人の別れ、黒猫団、ラフコフ討伐戦――それら全てに、アルゴは二人とともに関わってきた。
「昔話に花が咲く、って訳もないんダ。お互いに無事だって分かればいいんだヨ」
「……もしかして、自分が無事だって会わずに伝えるために、こんな有名に?」
「にひひ。これ以上はロハじゃムリだナ。オネーサンはボランティアじゃないんダ」
話しすぎたとばかりに無理やりに背中を向けて話を終わらせるアルゴを、シノンは不審げに眺めつつも、それ以上のことに踏み込むことは出来なかった。それはそれとして、これ以上は本人たちか、あのゲームに関わった者たちだけだと線引きされたような感覚に、シノンはあからさまに不機嫌そうな様子を見せたものの。
「シノンさん! アルゴさん! ――見えましたよ!」
そうしてリーファのダンジョン発見の宣言によって、二人の話は永遠に絶ちきられた。
「……なに、今の音」
さらにそのリーファの声をかき消すかのような、どこか聞いたことのある音が鳴り響いた。普段ならば戦闘態勢に移行してもおかしくはないが、そんな気もなくしてしまう、聞き慣れた――腹の音。
「すいません。つまり、ふつつかものですが……お腹が空きませんか?」
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