「これが『きもかわいい』というものなんですね」
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――そう気になったアルゴは、女神ウルズに向かってそう問いかけた。もしかしてプレミアの正体を知る手がかりになるのではと、アルゴに遅れてユイにシノンも勘づいた。ただし女神ウルズはその問いに答えようとはしていたものの、クエストが進行したからか、その身体は徐々に消えていこうとしていた。
『当然です……彼女は我々と近しい存在ですから……』
「近しい存在……?」
そんな謎めいたことだけを言い残して、女神ウルズは消えていった。彼女と近しい存在という真意は分からないものの、みんなは無意識にプレミアの方を見て。
「……女神には見えないわね」
「わたしもそう思います。わたしはあんなに大きくありません」
「そ、そうだね……」
とはいえプレミアに記憶がない――正確には設定されてない以上、本人に聞いても分かるはずもなく。むしろプレミア本人としては否定よりの意見を述べながら、羨ましげにリーファの方を眺めていた。
「どちらかというとリーファの方が女神です。わたしもショウキの好みくらいには大きくなりたいのですが、どうすればいいですか?」
「何の話!?」
「……し、身長の話よね?」
「いいえ、胸の話です。シリカと『なかま』でなくなってしまうのは辛いですが――」
「ストップ! そろそろ止めておこうナ! ホラ、トンキーも待ってるゾ!」
「たしかに。早く行きましょう」
止まらないプレミアの悩みとついでに被害を受けていくショウキにシリカと、流石に良心が咎めたのかアルゴがどうにかしてプレミアを止めて。リーファたちも安心して胸を撫で下ろしつつ、揃ってトンキーに乗り込んでいく。そこそこの人数が乗ったものの、1パーティ程度なら余裕で運べるトンキーには軽いもので。
「じゃあ、プレミアちゃんが飛べるようにしゅっぱーつ!」
「おー」
リーファの合図にトンキーが大きくいななき、ヨツンヘイムの空を飛翔する。とはいえ飛翔というよりは浮遊であったが、そのスピード感のなさはそれはそれで遊覧船のようである。
「見てくださいプレミア! あそこに――」
「……ねぇ、アルゴさん。ちょっといい?」
「……呼び捨てで構わないヨ、シノン」
「じゃあ遠慮なく。あなたと違って腹芸は苦手だからハッキリ言うわ」
遊覧船よろしく、リーファにユイがプレミアにヨツンヘイムのことを紹介していく最中、少し離れた場所でシノンがアルゴに話しかけていく。ただし仲良くなろうとかそういった意図は感じられず、まるで尋問のような雰囲気のまま会話は進められる。
「……なんでアスナに会いに行ってあげないの? あのゲーム以来なんでしょ?」
「…………」
「顔には出さないけど、寂しがってるわよ……多分、キリトもね」
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