「これが『きもかわいい』というものなんですね」
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手のように伸びた手足がついており、生物感の漂うヌメリとした感触が見てとれる。誰にも聞こえないように呟いたアルゴだったが、どんな風に感じられたかは雰囲気から察したのか、ユイとリーファが必死にフォローしていく。
「え? 見た目もかわいくない? ね、シノンさん!」
「……ごめんなさい」
「はじめまして、トンキー。わたしはプレミアといいます。よろしくお願いします」
見た目がかわいいかどうかはともかくとして、プレミアは始めましての挨拶とともに手を伸ばす。するとトンキーもそれに応じたかのように、触手を一本プレミアの前に差し出して、しっかりと握手してみせた。
「やっとわかりました。これが『きもかわいい』というものなんですね」
「キモくないもん! かわいいもん!」
「はいはい。それくらいにして、さっさと女神とやらに会いに行くんでしょ?」
『その必要はありません……』
プレミアが今まで理解できなかった概念を学んで感動に打ち震えていると、大地に響き渡るような神々しい声が一同に届いていた。それはかつての《キャリバー》を手に入れるクエストと同様であり、あくる日と同じく空中に巨大な女性の姿が浮かび上がった。
「おおきい……」
『久しぶりですね、妖精の子たちよ』
「ウルズさん……どうして?」
『話は聞いていました。その大地に繋がる階段の時に』
中空に現れたのは女神《ウルズ》。金色の髪と深い青色の服というキャリバーの件と同様の装いで、もはやどうしてここに来たか説明するまでもないという。そうしてプレミアに目を向けるとともに、その頭上にクエストマーカーが表示された。
「クエスト……?」
『妖精の翼に頼らず、我々のように空を駆ける方法。それはある秘術の書に記されています』
「その秘術の書はどこにあるんですか?」
『ある魔術師に盗まれ、我々の手の届かない洞窟に隠れ潜んでいます。魔術師を打倒していただければ、その書を差し上げましょう……』
「やります!」
ユイが間髪いれずに肯定の意を示したことによって、ウルズの頭上に浮かび上がったクエストマーカーが更新され、プレイヤーたち三人のログが更新される。
《空に憧れて》
そうして明かされるクエスト名は、まるでプレミアを連れてきて空を飛ぶ方法を探しに来た一連の流れが、まるでクエストとして設定されていたかのようで。本来ならばありえるはずのない、何も設定されてないNPCであるプレミアを、ヨツンヘイムにまで連れてくることを目的としたクエストがどうして存在するのか――
『この子……トンキーに頼めば、その魔術師の住処まで連れていってくれるでしょう』
「ナア! どうしてこの子のためにそうまでしてくれるんダ?」
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