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SAO−銀ノ月−
「これが『きもかわいい』というものなんですね」
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し、アスナの先導で森の中に潜んだエルフの砦へとたどり着く。主街区周辺とは違い、砦の周りにはエルフクエストを進めているプレイヤーが多数おり、各々がクエストを攻略している姿が見てとれる。

「なんで砦の外でクエストの説明を受けてるんだ?」

「砦の中はある程度エルフたちから信頼されてないと入れないの。ちょっと待っててね」

 エルフの砦の門前に降り立つとともに、アスナが結婚指輪でない方の指輪を見張り兵に晒す。すると今までプレイヤーたちをうさんくさそうに見ていた見張り兵が、とたんにビシッとした姿勢で敬礼するとともに、即座に門を開けるように伝令する。……アスナの見せた指輪には、随分と権力が籠っているらしい。

「アスナ。あんたこのクエストやりこんでるわね?」

「あ、あはは……まあ、ちょっとだけ、ね」

 目の前で苦笑いしながら目をそらす彼女が、かつてのデスゲームでプレイヤーたちの人間関係の不和に堪えきれず、度々パートナーに「森に帰りたい」「栄えあるエンジュ騎士団の一員として」などとこぼしていたのは、ショウキたちには知るよしもないが。とにかくエルフの砦へと入っていけば、エルフの一人が駆け寄ってくるのが見てとれた。

「アスナ! それにショウキもリズも、よく来てくれた」

「キズメル!」

「見張り兵があれほど慌てる人物などアスナがアルゴくらいだろうと来てみれば……人族の言葉では『びんご』というのだったかな?」

「バッチリ!」

 厳格な雰囲気に反していたずらっ子のようにエルフの騎士は笑ってみせ、久々に会ったらしいアスナとリズに抱きついていた。最初に会った時とは随分と雰囲気が違うが、こちらの方が素のキズメルという人物なのだろう。女性陣三人が抱きつきから別れると、キズメルは申し訳なさそうにショウキを見つめていた。

「すまないな。ショウキとも再会の喜びを分かち合いたいところだが、リズから殺気を感じてしまう」

「そ、そんなことないわよ!」

「冗談だ。さて、今日は……巫女殿は来ていないのか」

「巫女殿……か」

 抱きつく代わりに、ショウキとキズメルは再会の喜びを握手で表現しながら。ショウキたちが来たことから巫女――プレミアもいるかとも思ったのか、キズメルは辺りを見渡したものの、いないと分かって少し残念そうに肩を竦めた。

「ねぇ。そのプレミアに似た巫女がいる伝承ってどんなのなの?」

「ん? ああ、話していなかったか……簡単に説明すると――」

 キズメルにいわく。かつて浮遊城もなく世界にただ大地が広がっていた時代、争いで全てが破壊されかかった時、巫女のその身を犠牲にした祈りによって大地が砕かれ、この浮遊城が生まれたということらしく。その祈りの巫女がプレミアに似た姿らしいのだが……そこで手
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