暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 8
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して心優しく気高い女神ロザリア。我らアリア信仰は、見苦しくも内部でそれぞれの主観と利益に基づいた派閥を作り、最早一丸となるのは至難の業という在り様です。彼らに真実と真意を伝えたところで、現状は悪化の一途を辿るばかりでしょう。私も……これからの信徒達を導く立場にありながら、ご意向に沿わせる力もなく、大変申し訳なく存じます」
「いや、そりゃあんたのせいじゃな」
「ですが。私のこの身も、この思考も、主神アリアへと捧げたものとして、幼き時分より誰に恥じることなく、自らの意思で育んで参りました。そして実際にこうして相まみえた貴女は、紛れもなく私がお仕えすべき真の主神。聖なる慈愛の女神」
「…………はあ。そりゃ、どーも……」

 慈愛とか聖女とか、いい加減にやめてくれないかなあ。
 聴いてるこっちが恥ずかしいんだけど。

「貴女が、人間のみならず全世界の平穏を願って御姿を隠すと仰るのなら、私が所有する力をすべて使い、アリア信仰を含むあらゆるものの視線から、貴女をお護りいたしましょう。貴女が何者にも煩わされない環境をお望みであれば、私の全身全霊をもって、安らげる静寂の場所を提供いたします」

 ……要するに。

「誰にも言ってないから信じてくれ、と?」
「私は自らの意思で主神アリアに、女神ロザリア様に忠誠を誓っています。お疑いでしたら、いかようにも御下命下さいませ」
「別に、疑っちゃいないけどさ……じゃ、ソコで石像になってるバカ親父を解放してやってよ」
「この場で私に死ねと??」
「泣きながらぶっ飛んだ発言すんなよ! ホント滅茶苦茶だな、あんた??」
「可愛いものを可愛いと愛でるのは、全生物の使命であり義務ですのよ??」
「そんな使命も義務も聴いたコトないわ!」
「私が作りました!」
「だと思った!」

 仕方ないとかぼやきつつ立ち上がり、渋々片付けを始める同じ顔の二人。
 そんな背中を横目に、どうして寝起きで声を荒げてるんだ、私は……と、うつむいて、ため息を吐いた瞬間。

「外見や中身がどうであれ、ロザリア様が父親だと認めているのであれば、それがロザリア様の答えで良いと思いますよ」

 猪の姉ちゃんじゃないほうが、そう呟いた。
 パッと跳ね上げた視線の先で、よく似た二つの顔が私を見て笑う。

「「おはようございます、ロザリア様」」

 その笑い方に、含みなどはなく……

「……なんだかなあ……。もー、すっっっっごい疲れた……。いつの間にか私の服まで変わってるし……」
「そちらは、リーシェさんにも手伝っていただきました。今、温かいお茶を淹れますね。クロスツェルさんが作ってくださったお昼ご飯もありますよ。お腹が空いているようでしたら、すぐにお持ちしますが」
「頼む」
「かしこまりました」
「それと」
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