純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 8
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は女神アリアの記憶を失ったまま、数年間を浮浪児としてお過ごしになられていたとか」
「そうだけど……」
私が寝てる間に其処まで話してたのか、このバカ親父! ……って、なんとなく責めにくいな、チクショウ!
「人間という生き物は、良くも悪くも、己が置かれている立場から世界を量り、己の認識枠に填めようとするものです。私自身にその経験は皆無ですが、寄る辺無き者達の尽きない負の感情を知らぬ訳でもありません。記憶を失った状態で、しかも同じ人間の手で苦境に立たされていた貴女は、もっと人間を憎んでいても良かった。蔑んでいても良かった。辛苦ばかりの世界なんか壊してしまいたいと願っていても、仕方がない話です。けれど、貴女は人間を護ろうとしてくださった。人間同士が自分本位な欲求で他種族を食い物にしながら争い合う……こんな醜く歪んだ世界でも、貴女は護りたいと本心で願ってくださっていた。それは、浮浪児である貴女に、人間の良心を伝えてくれた人間が居たからでしょう?」
「!」
「多くの人間は、自身が傷付けられれば周囲を恨みます。負けて堪るかと、己を護る為に堅固な鎧を纏い、刃を磨きます。自身でも容易には脱げず手放せなくなるほどに、隙間無く、鋭く。反面、優しくされれば優しくしたいとも思います。愛を学んだ人間は、愛を教えてくれた種族の可能性を愛します。貴女が世界を護ろうとする意志を示してくださる度に、私は貴女の周りに居た人達の優しさを知ることができる。だから、安心致しました。人間世界はまだ、優しさも思い遣りも忘れてはいないのだと。まだ、手を取り合える余地は残っているのだと」
「え、ちょっと」
絨毯に膝を突いたまま体の正面を私に向けて、額を床に……って、土下座? なんで土下座?
「主神アリアにして、心優しく気高い女神ロザリア。我らアリア信仰は、見苦しくも内部でそれぞれの主観と利益に基づいた派閥を作り、最早一丸となるのは至難の業という有り様です。彼らに貴女の真実と真意を伝えたところで、現状は悪化の一途を辿るばかりでしょう。私自身、これからの信徒達を導く立場に在りながら、ご意向に沿わせる力も無く……申し訳なく存じます」
「いや、そりゃあんたの所為じゃな」
「ですが。この身この思考は、主神アリアへの捧げ物として、幼き時分より誰に恥じること無く自らの意志で育んで参りました。そして、実際に相見えた貴女は、紛れもなく私がお仕えすべき慈愛の女神」
慈愛とか聖女とか、止めてくれないかなぁ。聴いてるコッチが恥ずかしいんだけど。
「貴女が人間のみならず全世界の平穏を願って御姿を隠すと仰るのなら、私が持つ総ての力を使って、アリア信仰を含むあらゆるものの視線から貴女をお護り致しましょう。貴女が何者にも煩わされない環境をお望みであれば、私の全身全霊を以っ
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