純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 8
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子ほどの女性二人に着せ替え人形の扱いを受け、頭に可愛らしいリボンを巻き付けた中身壮年の見せかけ少年なんて、笑ってあげる以外にどんな価値が?」
「ソレ一応私の親だから! 笑い者にしてる自覚があるならやめたげて! なんか今この瞬間にもぶっ倒れそうなくらい悲惨な顔色で震えてるから! 即刻やめたげて??」
「お断りしますッ!」
「まさかの即行却下??」
「それはそれ。これはこれ。他人の親は他人の親。レゾにゃんには、もっともっと可愛らしくなっていただかなくては困ります。主に、私の気晴らしと目の保養となる為に??」
「レゾにゃ……あんた、なに言ってんの??」
「冗談を言っています」
「冗談は実行したらあかーんッ??」
疲れる!
こいつ、すっごい疲れる!
クロスツェルが露骨に避けたがるわけだ。
話術に長けてるとか、そんな可愛いもんじゃない。
他人の調子を狂わせる達人というか、精神をゴリゴリ削りにくるというか
「ですが、安心しました」
「へ?」
「聴くところによれば、ロザリア様は『女神アリア』の記憶を失ったまま、数年間を浮浪児としてお過ごしになられていたとか」
「そうだけど……」
私が寝てる間にそこまで話してたのか、このバカ親父!
……って、なんとなく責めにくいな、チクショウ!
「人間という生物は、良くも悪くも己が置かれている立場から世界を量り、己の認識の枠に填めようとするものです。私自身にその経験は皆無ですが、寄る辺なき者達が内に抱く尽きない負の感情を知らぬわけでもありません。記憶を失った状態で、しかも同じ人間の手で苦境に立たされていた貴女は、もっと人間を憎んでいても良かった。蔑んでいても良かった。辛苦ばかりの世界なんか壊してしまいたいと願っていても、仕方がない話です。けれど、貴女は人間を護ろうとしてくださった。こんな醜く歪んだ世界でも、貴女は護りたいと本心で願ってくださっていた。それは、浮浪児であった貴女に、人間の良心を伝えてくれた人間が居たからでしょう?」
「!」
「多くの人間は、自身が傷付けられれば周囲を恨みます。負けて堪るかと、己を護る為に堅固な鎧を纏って、刃を磨きます。自身でも容易には脱げず、手放せなくなるほどに、隙間なく鋭く。反面、優しくされれば優しくしたいとも思います。愛を学んだ人間は、愛を教えてくれた種族の可能性と未来を愛し、その心と志を受け継ごうとします。貴女が世界を護ろうとする意志を示すたびに、私達は、貴女の周りに居た人達の優しさを知ることができる。だから安心しました。人間はまだ、手を取り合う余地を残しているのだと」
「え、ちょっと」
絨毯に膝を突いたまま、体の正面を私に向けて、額を床に……って、
土下座? なんで猪の姉ちゃんが、私に土下座?
「我が主神アリアに
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