暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 8
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えながら、いろいろと試させてもらってますのよ」
「……へえー……百着かあー……。そりゃまた、ずいぶん大量だなあ……」
「うふふ。それはもう、伝手という伝手を使い全力で?き集めましたもの。ですが、残念なことにどれもそれなりに似合う程度で、特別これ、と言える極上の装いが見つかりませんの。素材がかなり優良なだけに、己の力不足が口惜しいばかりですわ」
「まあ……百着もあれば仕方ないっていうか、迷うのが当然っていうか」
「ええ。あと千着は追加決定ですわね!」
「…………ああー……そ、う。千着、ね……」
「無論! 下着も装飾品もお化粧も欠かせません! この際フリルドレスも試してみましょう! ()()()()()()()!」
「ところで猪のね、じゃない、プリシラ=ブラン=アヴェルカインだっけ。起き抜けで悪いんだけどさ。一つ訊いても良いかなあ?」
「気になる発音はありましたが、さておき。なんなりとお尋ねください」
「そんじゃ、遠慮なく。あんたさあ……男でもあり女でもある実の父親が、気付かないうちに幼児化してた挙句、見知らない部屋で、同じ顔の女二人に着せ替えされてる場面を見ちまったら、どんな反応する? 私さ、一般民と言える生活とはほとんど縁がなかったもんで、こんな時、怒れば良いのか、呆れれば良いのか、悲しめば良いのか、全部見なかったふりをしてもう一回寝直せば良いのか……適切な判断を下せそうにないんだわ……」

 男女どっちにも寄せられる身体機能を持ってる時点で、そこらの人間とは比べようがないのでは……なんて、そこんトコロは言われなくてもよぉーく解ってるから、小声で突っ込まないでくれ。服を回収してるほうの人。

「そうですわねえ。私も両親とは幼少の頃から離れて生活しておりますし、父に至っては、私を前にするたび何故かいつも両手で顔を覆ってうつむいていましたので、顔さえもよく覚えておりませんの。ですので一般的な感覚の答えとは多少異なるかも知れませんが、私の場合に限りますと」
「うん」
「まずは、右手で拳を握ります」
「うんうん」
「次いで、左手のひらを腹部に当て、唇を『は』の形に開いて固定」
「うんう…… ぅん?」
「目線と右腕をまっすぐ父へ向け、伸ばした人差し指を地面と平行の位置で留めましたら、思いっきり空気を吸い込みます。それから、小刻みに、かつ断続的に勢いをつけてっ」
「了解。尋いといてなんだけど、すまん。私には真似できそうにない」

 顔も満足に思い出せない父親の玩具っぷりを笑い飛ばすとか。
 こいつ、何気にヒドイ。

「笑い者を笑わなくて、どうするんですの?」
「いや、そんな、心底意味が解らないって顔で首を傾げられてもな??」
「二十代の幕を引こうとしている子供を持ちながら、実
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