第三章
[8]前話
「こっちもやっぱりね」
「主力商品ですよね」
「うちはプラモデルもかなり扱ってるから」
それでというのだ。
「アニメモデルもスケールモデルもね」
「あの、アニメモデルはわかりますが」
千沙都は店長にそちらはと答えた。
「私も。ただ」
「あっ、スケールモデルはね」
「そっちは」
どうにもと言うのだった。
「わからないんですが、まだ」
「そっちは実際にあった戦車とか戦闘機よ」
「あっ、零戦とか」
「そう、ああしたののプラモデルがね」
まさにというのだ。
「スケールモデルなのよ」
「そうなんですね」
「こっちも色々あるけれど」
売り場のスペースもかなりのものだ。
「それでもね」
「そちらもですね」
「ちゃんとね」
それもというのだ。
「覚えてね、プラモはちゃんと係の子がいるけれど」
「それでもですね」
「やっぱりね」
どうしてもというのだ。
「お客さんに聞かれることもあるから」
「それで、ですね」
「覚えておいてね」
「わかりました」
千沙都は店長にプラモのことについても答えた。
「後でコーナーに行ってきます」
「時々でもいいからね」
「勉強してきます」
「そうしてね、ぬいぐるみもあるしお人形も。赤ちゃん用のおもちゃも」
そうしたものもというのだ。
「どんなのかね」
「頭に入れておく」
「それがおもちゃ屋よ」
その店員だとだ、店長は千沙都に話して千沙都も頷いてだった。
そうして学んでいった、そのうえで。
千沙都は立派な店員になっていった、そうして家で両親に言うのだった。
「おもちゃ屋の店員さんって凄く面白いわ」
「そうか、そんなにか」
「千沙都にとっていいのね」
「色々な種類のおもちゃがあって」
それでとだ、両親に笑顔で話した。
「それを見て覚えるだけでも楽しいから」
「そうか、じゃあな」
「明日も楽しんで行って来てね」
「そうさせてもらうわ」
是非にと言ってだ、そのうえで。
千沙都は笑顔で次の日も店に行って笑顔で働いた、彼女にとっておもちゃ屋での仕事は素晴らしいものだった。それが彼女の街での生活をこの上ないまでに輝かしいものにもしていた。
おもちゃは素敵 完
2018・9・23
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