第三章
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「ちゃんとな」
「しっかりと暮らしているんだね」
「生活費だってちゃんとしてるしな、引きこもりだけれど蛙相手の仕事の帰りに生活用品とか食いもの買ってるぜ」
「じゃあ自炊してるんだね」
「驚いただろ」
「うん、かなり現実的な生活で」
「まあそれでも表の仕事じゃないからな」
公に出来る仕事でないというのだ、タケダ君もこのことはわかっているのだ。
「蛙の問題や騒動の解決なんてな」
「そうだよね、犯罪じゃないけれど」
「まあ親戚の遺産で食ってるとかな」
「表向きにはだね」
「そうしてくれ、あとどうも中卒はいい加減まずいからな」
このことも意識していた。
「夜間学校に通うつもりあるからな」
「そこで高校卒業するんだね」
「ああ、まあ俺は表向きはどうでもな」
「社会的に暮らしているんだね」
「だから安心してくれよ」
「わかったよ、じゃあ上司には詳しいことを報告するけれど」
それでもとだ、職員はタケダ君に約束して答えた。
「表向きには納得のいく理由にしておくから」
「頼むな」
「それじゃあね」
「犯罪でないなら問題ない」
警官も言った、部屋の中にもタケダ君自身にも犯罪の匂いはなかった。それならだった。
「以後も蛙達を助けてくれ」
「それじゃあな」
タケダ君は二人に笑顔で応えた、そしてだった。
二人も納得して彼と別れて帰路についた、後日しっかりと調べてもやはりタケダ君は実際に蛙達相手の仕事をしていた。
それでタケダ君のことは表向きは親戚の遺産で食べていることになったがそれでもだった、職員はこのことについて課長と警官に三人で昼食を摂りつつ話した。
「いや、そうした生計の立て方もあるんですね」
「蛙相手の仕事とかね」
「そういうものもあるのが凄いよ」
二人もこう言った、三人共ラーメンを食べている。
「それで生計を立てている」
「それは凄いよ」
「しかも貯金まであるとか」
「意外も意外だよ」
「そうですよね、表向きには出来ない仕事ですが」
犯罪でなくともとだ、職員は話した。
「それでもちゃんと暮らしているなら」
「いいね」
「そうしたら」
「はい、あと彼夜間高校に通いはじめました」
「そうか、じゃあ中卒でもなくなるね」
「そのこともいいね」
「数年後は高卒ですね」
職員は同級生のこのことにも笑顔になった、確かに乱暴者との記憶しかないがそんな彼でも何の恨みもない同級生だからタケダ君がちゃんと暮らしていることに喜んだ。そして数年してから彼が卒業して晴れて高卒となったと聞いてまた喜んだ。表向きの社会的立場は引きこもりのニートのままであったが貯金はさらに増えたとも聞いたので余計にそうなった。
どうして暮らしているのか 完
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