第二章
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「はい」
「タケダさんですか?」
「そうだよ」
ぶっきらぼうで粗暴そうな感じの声での返事だった。
「何の用だよ。新聞なら間に合ってるぜ」
「市役所から来ました」
「市役所?」
「お聞きしたいことがありまして」
「ひょっとしてあれか?」
ぶっきらぼうの返事はそのままだった。
「俺の生計のことか」
「そうです、職業は何でしょうか」
「詳しく話さないと駄目か?」
「お願い出来ますか?」
「別に内緒にしてるものでもないしな」
それでとだ、タケダ君は言ってだった。
そうしてだ、部屋の扉を開けた。すると職員が知っていた彼よりも遥かに柄の悪い感じで人相も悪くなっている姿で出て来た、するとタケダ君は職員の隣にいる警官も見て言った。
「警官の人もか。それにあんた」
「中学で同級生だった」
「そうだよな、市役所の職員になっていたんだな」
「そうなんだよ」
「あんた勉強出来たしな、俺は頭が悪かったから表向きはニートだよ」
「表向きは?」
警官がタケダ君のその言葉に反応して眉を動かした。
「それは一体」
「そのことを話すな」
タケダ君は警官にも応えてだった、二人を部屋の中に入れた。部屋の中は奇麗で整っていた。そしてだった。
荒んだ感じもなった、タケダ君は二人を部屋の中の席に座らせてコーヒーとクッキーを出してから話した。
「確かに俺は中卒で引きこもりでニートだよ」
「表向きはと言ったね」
警官はまたタケダ君に言った。
「そうだね」
「ああ、中卒は実際だけれどな」
「表向きというのは」
「実は俺蛙が好きでな」
「あっ、そういえば君昔から蛙が好きだったね」
職員はここでタケダ君のこのことを思い出した。
「蛙のことなら何でも知っていて」
「学校の成績はダントツ最下位でもな」
とにかく圧倒的に出来なかったがだ。
「蛙のことは詳しかっただろ」
「そうだったね」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「実は中三の秋に蛙の言葉がわかる様になったんだよ」
「そうだったんだ」
「それで蛙と話も出来る様になったんだよ」
この特殊能力のことを話すのだった。
「それで蛙達と友達になってその話を聞いているうちに日本の蛙達の悩みを解決するなんでも屋になったんだよ」
「蛙専門の?」
「ああ、それで東京の皇居のお堀に日本の蛙の総大将がいてな、何百年も生きているな」
「そんな話はじめて聞いたけれど」
「蛙の世界での話だからな」
それでというのだ。
「知らなくて当然だな」
「そんな話があったなんて」
「それで蛙達の中の問題や騒動を解決したら報酬が貰えてな、総大将はそれこそ小判やら宝石からを山みたいにため込んでる資産家でな、長生きしている間に日本の水の中で色々見付けて貯め込んでいるんだよ」
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