第二章
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「これまで二千年以上生きてきたがな」
「その間ですね」
「一度もした記憶はない」
「ならです」
「恐れることはないか」
「はい、貴方がそうした方なら」
「ドラゴンでも恐れぬか」
「ドラゴンでも獣でも妖精でも人でも」
それこそとだ、エターニャはドラゴンに率直な声で答えた、ドラゴンが自分に対してそうした様に。
「心が正しければ」
「恐れぬか」
「私は」
「そのことはわかった、それで何故わしに会いに来た」
「貴方のお話を聞いたからです」
「そうしたことはしないドラゴンだとか」
「そうした方ならお会いしたいと思いまして」
それでというのだ。
「お邪魔しました」
「そうか、獣も誰も来ぬこの場所にか」
「そうしました」
「そのことはわかった、酔狂な者もいるものだ」
「それでお話を色々聞かせてもらいたいのですが」
「わしの話をか」
「知っているお話を色々と」
ドラゴンにだ、エターニャは楚々とした声でお願いをした。
「宜しいでしょうか」
「この森に来るまでも長く生きてきた、今は空気からこの世の様々なことを聞ける」
「では色々と」
「お主が聞きたいなら話そう」
「それでは私はそのお礼に」
「どうしてくれるのだ」
「歌を歌わせてもらいます」
エターニャはドラゴンに慎んだ態度で述べた。
「そうさせてもらいます、下手でもいいでしょうか」
「構わぬ。そうしたことで怒らぬ」
ドラゴンはエターニャに約束した、そうして己が知っていることを彼にしてみればほんの少し話した。その後でだった。
エターニャの歌を聴いた、最初は期待していなかったが聴いてみるとだ。
素晴らしい歌だった、それでドラゴンは歌い終わった彼女に言った。
「また来てくれたらだ」
「その時はですか」
「わしの知っていることを話そう、そしてだ」
「歌をですか」
「聴かせてくれるか」
「それでよければ」
これがエターニャの返事だった。
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