第二章
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拓郎の妻は夫に笑顔で話した。
「何か葉月ちゃんとちあきちゃんは」
「ああ、和彦にとってな」
拓郎は妻の育枝に笑顔で応えた、背は高くすらりとして楚々とした外見だ。
「実のお姉さんだな」
「そうなってるわね」
「そうだよな、あの娘達にとってな」
「もう和彦は弟ね」
「そうなってるな」
「そうよね」
「物凄く可愛がってるからな」
「和彦も二人に懐いてるし」
育枝は笑顔で話した。
「いいことだな」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「いや、一つ思うことは」
それはというと。
「甘やかしたりしないかしら」
「ああ、そのことか」
「葉月ちゃんもちあきちゃんも優しいしね」
「子供好きみたいだしな、二人共」
「ずっと女の子二人で男兄弟いなかったみたいだし」
「それでっていうんだな」
「大丈夫かしら」
首を傾げさせてだ、育枝は夫に言った。
「私そのことが心配だけれど」
「それは僕達がするか?」
「和彦を叱るのは」
「確かにあの娘達は和彦を甘やかしそうだな」
拓郎もこのことは感じていた、それも強く。
「しかしな」
「それでもなのね」
「和彦を叱るのはな」
「私達がすればいいっていうのね」
「ああ、そうすればいい」
二人が息子を甘やかすならというのだ。
「それだけだろ」
「そうね。じゃああの娘達は優しいお姉ちゃん達で」
「僕達が厳しい両親だ」
「役割分担ね」
「そうしていくか」
「そうね。そうしていきましょう」
育枝は夫の言葉に頷いた、そしてだった。
葉月とちあきは和彦を猫可愛がりし拓郎と育枝が彼を叱る風になった。それで姉妹は彼を安心して甘やかせたが。
ある日だ、和彦は二人にこんなことを言った。
「あの、近所の公園に出店があるけれど」
「出店?」
「出店が出てるの」
「うん、そうなんだ」
家で二人に話した。丁度二人はリビングでそれぞれの学校の話をしていたところだった。
「僕今日見たよ」
「大阪の出店っていうとね」
「あれよね」
二人は屋台と聞いて顔を見合わせて話した。
「たこ焼き?」
「あれよね」
「それかいか焼きよね」
「あの生地で包む方ね」
大阪のいか焼きは二種類ある、その小麦粉の生地に烏賊を切ったものを入れて焼くものと他の地域でいか焼きと言う姿焼きだ。二人はそれも思ったのだ。
だが二人は大坂の屋台ならとだ、さらに話した。
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