第一章
[2]次話
別人と思われて
西田楓は背が高くしかもすらりとしたスタイルでとりわけ脚のラインのよさがステージではベースの演奏と共に注目されている、それでバンド仲間にも言われていた。
「私達全員のことだけれどね」
「楓っち露出もっと出していってね」
「ミニスカート履いてね」
「シャツも露出多め」
「袖なしでいこうね」
「胸元も開いて」
「その方が人気出るからよね」
楓は仲間達がステージでの服の露出を多めにという理由をすぐに察して言った。
「そうよね」
「そうよ、特に男のファンが注目するから」
「だからよ」
「私達どんどん派手な服着ていきましょう」
「水着や下着とは言わないけれど」
「露出は多い方がいいのよ」
「私動きやすい服が好きだけれど」
眼鏡をかけて髪の毛はポニーテールにしてジーンズに長袖のシャツという自分で言う通り機能的なファッションでだ、楓は仲間達に言った。リーダーの家に集まって次の駅前での演奏の打ち合わせの話でそうした話になったので応えての言葉だ。
「けれどね」
「楓っちとしてはあまり好きじゃないわよね」
「そうした露出多いのは」
「どうしても」
「抵抗あるわ、特にスカート」
これがというのだ。
「高校まで制服以外じゃあまり穿かなかったし」
「今もよね」
「あまり穿かないわよね」
「今だってジーンズだしね」
「普段殆どズボンだし」
「動きやすいから、何かスカートだと」
どうしてもというのだ。
「今一つ抵抗あるのよ。けれどよね」
「そう、ステージはステージだから」
「実際とは違うからね」
「だからよ」
「ここはお願いするわ」
「ステージの時限定で」
ミニスカート等露出の多い服を着て欲しいというのだ。
「確かに音楽と演奏第一だけれど」
「ビジュアルも大事だからね」
「そこはお願いね」
「皆がそうするし」
「わかってるわ」
楓は個人的な感情ではどうかと思っていても露出の多い服の方がステージでは人気が出ることもよくわかっていた、しかも絶対に嫌という程そうした服が駄目でもなかった。あまり好きでないという位だった。
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