暁 〜小説投稿サイト〜
インフィニット・ゲスエロス
閑話4 ヒカルノと太郎(表面)【中編】
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「…………で?太郎さま、聞きたいんだけど?」

不機嫌な顔を隠そうともせず、ヒカルノは言う。

「わざわざ仮入部の私を指名したのはなんで?嫌がらせ?」

だが、棘のある口調で、嫌がらせの『様』付けを変えずにそう言っても、太郎は全く堪えない。

「んー、ほら、『君以外』の人達は、緊張から解き放たれてぐったりしてたからさ、『部の代表者に仮入部の君を差し出すくらい』にね?」

むしろ、どこ吹く風、とばかりに言葉を紡いだ。

「…………そうしたのアンタじゃない」

その言葉に、額を押さえながら、ヒカルノは返す。

怒号、叱責という鞭でいたぶった後の優しい言葉。

それに安堵し、涙を浮かべて一息入れている状況で、太郎の口にした言葉に対して疑問を口にする。

つまり、『逆らってみる』

その結果、どんな言葉が返ってくるのか分からないのに。

再度言うが、散々、言葉で痛めつけられた後にである。

(そりゃあ、無理な話よね…………)

それを皆に要求するほど、ヒカルノは鬼ではなかった。

「まあまあ、良いじゃない。君も部屋から出ていきたかったんだろ?それに…………」

歩きながら目だけ此方に向けて、太郎は笑顔で、こう言った。

『どんな理由でも、こちらの仕事に手を貸してくれたんだ。君に損だけさせるつもりはないよ?』と。

『爽やか』のお手本のような笑顔。

それを自身のイケメンフェイスを悪用して行うのだから、なるほど、『うぶ』な女なら、それだけでノックダウンしそうではある。

(だけど残念、私は性格ねじくれてるの)

『普通』の女のような反応など、してたまるか。

そんな感情と共に、『当時の』私は、こう答えた。

『絵にかいた餅で喜ぶ趣味はないねえ〜』

そう言って、もったいぶった後に、襟元をつかんで、太郎に言う。

『具体的にご褒美を出したら信じてやんよ!』と。

一瞬、止まる時間。

目を丸くする太郎。

「ははっ!そうきたかあ…………」

彼はその答えに、嬉しそうに笑っていた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「あの時の太郎、楽しそうに笑いおって…………」

当時の苦々しい気持ちを思い出し、ヒカルノは言葉を吐いた。

部室で見せたSMプレイ(?)に人心掌握術。

ついでに、妖しげな笑顔(ヒカルノ視点)

いやあ、当時から怪しい悪党ムーブ全開過ぎだろ太郎。

後で本人に聞いた話では、緊張せずにズケズケ話してくれたのが好印象だったから、少なくとも私とのやり取りは、裏無く喜んでいたらしいが…………

「言わなきゃ分からんわ〜」

うん、あの口調と笑顔は胡散臭い(断言)

なまじ顔が良いので引っ掛かる奴も
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ