暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
32話:フェザーンでの出会い
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
の製品の方が物がいい。そこでコーネフさんをフェザーンでの仲介人として、農業・鉱業用の機械やメンテナンス部品を調達したい。ただし設備投資の回収期間はそれなりにかかるので、同盟側でそれなりの期間手配を担当する信頼できる代理人をお探しで、白羽の矢が私に立ったと言う訳だ。それなら危ないどころが、とてもいい話だ。

「会計の兼ね合いもあるでしょうから、フェザーン国籍の企業を3者の企業が合資で設立することにしましょう。フェザーンの企業ですからコーネフさんが50%、残りをヤンさんと私で持ちます。設立の諸経費はRC社で持ちますし、各種機械の購入代金として、帝国マルクでとりあえず10億用意します。これは担保金のように扱いますので、機械が納品されるごとに代金はその都度お支払いします。貴族の都合で仕入れた機械が焦げ付く不安もあるでしょうし、私としてはこのような形で進めたいのですが......。」

話の終盤にとんでもないことをザイトリッツ様が言い出した。良い話どころか破格の条件だ。本当に裏はないのだろうか......。心配になったが顔に出ていたようだ。ザイトリッツ様が苦笑しながら話を続けた。

「若輩者の戯れと思って頂いてもよろしいのですが、私は信用はお金で買えませんが安心はお金で買えると思っています。幼少の頃からビジネスの紛いごとをしておりますが、時に安心が、仕事の進捗や成果に大きく影響する事を実際に見てまいりましたので、このようにさせて頂きました。もしご安心頂けないようであれば、条件をお伝えいただければと思いますが......。」

そういう意味ではこれ以上の安心はない。『安心はお金で買える』か。私の辞書にも付け加えたいほどだ。コーネフさんに視線を向けるが、異論はなさそうだ。

「お気遣いありがとうございます。ご期待に沿えるように務めたいと思います。」

「ご安心頂けたようで、安心しました。私も良い話がまとまってホッとしています。これもコーネフさんの場の選択が良かったのかもしれませんね。私が聴講させてもらっているフェザーン商科大学もご縁があるようですし、フェザーンにいる間は、ここを贔屓にしようと思います。縁起がいいお店ですしね。」

そこまで言われて、4度「今年のシンドバッド賞」を受賞したバランタイン・カウフ氏の最初の成功のきっかけとなった噂話を聞いたのがこの酒場ドラクールだという逸話があることと、フェザーン商科大学がそのカウフ氏の生涯の友、オヒギンズ氏の資産を基に設立されたことを思い出した。

「我々の良きご縁のはじまりの場になれば良いと思いまして。」

コーネフさんは配慮に気づいてもらえたことを嬉しそうにしながら応えた。そうだ、いい関係の始まりになるように務めねば。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ