32話:フェザーンでの出会い
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りました。改めてになりますが、ルントシュテット伯が3男、ザイトリッツと申します。この場ではRC社代表と名乗った方が良いかな?」
そう言いながら、右手を差し出してきた。
思わず握手をして
「ヤン・タイロンと申します。ご尊顔を拝し光栄でございます。」
と口走っていた。
「ヤンさん。私たちの関係は主従ではありません。堅苦しいのは無しにしましょう。それでは席に付きましょうか。今日はコーネフさんがホストだからオーダーもお任せしますね。」
コーネフさんはお任せくださいというと、オーダーしに一旦部屋から出て行ってしまった。さすがに一人にされるのは困る。どうしたものかと思ったが
「ヤンさん。コーネフさんから伺いましたが、古美術品に凝っておられるとか。足代に足りるかはわかりませんが、こちらを贈らせてください。」
「これは......。」
「お好みに合うか不安だったのですが、鑑定書付きで用意できるものがこれしかなくて。ご笑納いただければありがたいのですが・・。」
出てきたのは万歴赤絵の大皿だ。本物ならかなり高価なものになるが。
受け取るか戸惑っているうちにコーネフさんが部屋に戻ってきた。
「手配して参りました。おお、これはまた大層な品物ですな。ザイトリッツ様、さすがに初対面では素直に受け取るのは躊躇しますぞ。ヤンさんもお困りだったのでは......。」
「フェザーンやあちらでは慣習が違うことを忘れていました。ヤンさん、困らせてしまっていたならこちらの本意ではありません。帝国ではこういった贈り物をするという事は将来ルントシュテット家の方から頂いたと紹介される事を踏まえて用意するので、あまり安価なものは爵位を持つ家では贈答品にできないのです。ここは両者の価値観を確認するために必要だったという事でお納めいただければ幸いです。」
「分かりました。ありがたく頂戴します。ただ。私もあちら側で育った人間です。良いお話なら喜んで協力させて頂きますが、なにか工作する様なことはお力になれないと存じます。その点はご配慮いただければ幸いです。」
すると、ザイトリッツ様は嬉しそうに笑いながら
「確かに代々軍人を商売にしている家の人間ですからそういう心配もされるでしょうね。安心してください。そんな話ではありません。仕切り直しになりますが、同席しているのは従士のフランツ、乳兄弟のパトリック。ふたりともご挨拶を......。」
御二人からもご挨拶を受けて、今回の話の主旨を伺ったが正直良い話だった。ザイトリッツ様が代表を勤めるRC社が展開している辺境星域で、教育制度の充実を進めた結果、農業・鉱業の分野で機械化を進める土壌が整ったが、それを製造している帝国の企業は友好とは言えない関係の貴族の利権であるし、資料を見ても同盟
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