暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
25話:堅物の婚約
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後背地に属する。イゼルローンの件がなければRC社が展開を考えていた地域だ。とはいえ、イゼルローン要塞の件は勅命でもあり失敗は許されぬ。妻の実家の力になりたいという感情は持って当たり前の物だが、今は変な安請け合いはできぬ。その辺りも含んでおいてくれ。」

話が済んだ頃合いで玄関の方で人の気配が増えている。コルネリアスかザイトリッツが戻ってきたのだろう。父上からもお話しされるだろうが、自分の結婚の事は自分の口から伝えたい。私は暇乞いをして玄関に向かった。

「おお、兄上お帰りでしたか。ザイトリッツも同じタイミングで到着したようですよ。」

長弟のコルネリアスと末弟のザイトリッツが何やら玄関で話していた。この二人は悪い意味で気が合う。まさか玄関で毒舌を交わしたりはしていないと思うが。

「兄上、ザイトリッツただいま戻りました。お変わりなく安心いたしました。少しお話していたのですが、あのシュタイエルマルク提督の司令部で励まれているとか、末弟として鼻が高いとお話ししていたのです。」

「それだけではないだろう?私としては士官学校に在籍しながら要塞建設の資材調達を一手に差配する弟をもてて光栄に思っているさ。」

普通に聞けばお互いに賞賛しあう仲の良い兄弟に見えるが、二人ともニヤニヤしている。本音はお互いに仕事を大量に抱えてご苦労さんって所だろう。すこし頭が痛くなるが、この二人は揶揄しあうことを楽しんでいるようなので特に注意はしない。

「玄関で立ち話をする必要はあるまい。遊戯室にみなお揃いだ。早く参ろう。」

そう言って話をいったん区切って遊戯室へ二人を誘う。戻れば父上からお話が出るだろう、先にここで伝えておきたい。

「父上からお話が出るだろうが、私の結婚が決まった。お相手はミュッケンベルガー家のビルギット嬢だ。お前たちには自分の口で伝えておきたかったのでな。」

「それは良きお話しですね。兄上おめでとうございます。」
「式にはぜひ参加したいですね。ご配慮頂けると思いますが早めに日程を決めて頂かなくては。」

二人ともこの結婚を祝福してくれている様だ。

まもなく遊戯室というあたりで、コルネリアスが何かザイトリッツに耳打ちするとザイトリッツは思わず笑っていた。何だかんだと仲は良いのだ。私はその光景をほほえましく見ていた。
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