25話:堅物の婚約
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宇宙歴761年 帝国歴452年 12月下旬
首都星オーディン ルントシュテット邸
ローベルト・フォン・ルントシュテット
今年も事が多い一年だった。特に周囲から聞かれるのが私の末弟が取り仕切っているRC社の事だ。皇帝陛下の勅命で建設される人工天体の要塞、イゼルローン要塞の建設資材を一手に取り仕切った事でかなり名前が売れている。我が家の領地、ルントシュテットをはじめ、RC社が事業展開をしている辺境星域は特需状態のようだ。
当領を含め8年前は人口2億3000万人だったが、人口流入や福祉施策の効果で3億人近くまで人口も増えているし、収益も当然増えている。おそらく父上に断られての事だろうが、一部の貴族から自領でもRC社に事業展開を頼めないか?と、内々に相談される事も増えた。
父上にも確認したが、現在はイゼルローン要塞の件で精いっぱいでとても新しい案件を抱えられる状態ではない為、御断りされているとの事だ。また、事業の特性上、展開している星域から飛び地になるような所では収益化が難しいとの予測もある。イゼルローンの件を除いても、手を広げるのは難しい状況にあるらしい。
喜ばしい話ではあるのだが、RC社と合弁会社を設立した辺境領主の皆様は今はとにかく領民に報いる意味でも収益を自領への投資に回す判断をされた。ザイトリッツの予測では、自分たちで輸送船を運航させる領主もでてくると見込んでいたが、かなりの初期投資と収益化が難しい輸送船事業を始めるより開発余地がいくらでもある自領の開発と、ルントシュテット領を真似て福祉施策を充実させる事を優先させた。
結果、大げさな表現ではなく、月ごとに必要とされる輸送船団が増えているような状況だ。これもRC社が合弁企業の設立を取引開始の条件にしたことが大きかった。各領主の立場から考えると、RC社は共同受益者になるため、任せられる事は任せてしまおうという判断に至ったようだ。
我が領を含め、辺境星域は大きな発展の波に乗れている状況だが、これを演出したのが、我が末弟、ザイトリッツだ。士官学校に籍を置きながら資材調達を取り仕切っている。私も来年の定期昇進で中佐が内定している。25歳で中佐なら伯爵家嫡男としても悪くはないが、手本となれているか不安になる自分がいる。
そういう面では長弟のコルネリアスは可愛いものだ。4月の定期昇進で大尉になったものの、戦術家として名高いシュタイエルマルク提督の司令部に配属されたため、かなりの激務をなんとかこなしている様だ。たまに会うと愚痴をこぼしてくれる。長弟はもともと要領が良い方だったが、任せられる者にどんどん任せる風潮があるらしく、かなりの仕事を振られているらしい。
そんな事を自室で休みながら考えていると、メイドが私を呼びに来た。どうやらおばあ様、父上・母上がお揃いでお待ちらしい。すぐ
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