第10話 決着
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《・》ールは無いんだよなあ?」
意地悪く言う空に、シグの弾丸が着弾する。それは、二度反射した空の弾丸が、シグに着弾するのと同時だった。
────同時着弾。それは、シグにとって想定外の────『引き分け』を意味していた。
「おぉっとぉお!?でも着弾は同時だしなぁ〜〜これは引き分けだよなあ〜〜!?」
空は、わざわざそれを口に出して明文化する。その行動に────わざわざ勝ちを捨てた行動に、シグは怒りに燃える目で空を睨んだ。
「空────いや『 』。何で勝てるのに引き分けた」
その声からは、微塵の喜びも感じ取れなかった。『 』に勝てないまでも、引き分けた戦績────しかし、シグがそれに納得している様子は微塵もなかった。
「あんな神業が出来たなら、俺の弾丸だって弾けただろ!?哀れみのつもりか!?」
「ストップ」
だが、空もまた一切の悪巫山戯もない表情で言葉を返す。これ以上なく真剣なその目に────シグですら、二の句を告ぐ事を躊躇った。
そして、押し黙ったシグを確認した空は、やがて呆れたようにこう言い放った。
「それが答えだろ、シグ。お前は、手加減されて引き分けたとしても、嬉しくはないだろ?」
心底めんどくさそうに。なんでこんなことも分からないと言いたげに。
「蹴落とされた奴らは────這い上がってくる。勝てない相手っていうのは、ゲーマーにとって寧ろ歓迎すべき代物だ。お前も、そうだろ?」
シグは息を呑んだ。空の言葉を、肯定せざるを得なかった。
自分が『 』に挑み続けている事自体が、空の言葉の正しさを物語っていた。
「つまり、お前が罪悪感を感じる必要なんざどこにもねえ。────そろそろ、肩の荷を下ろせ」
そう、空は小さい苦悩を、一蹴した。
────シグは頷くしかなかった。答えを聞けば笑うしかない────本当に、シグの苦悩など小さいものだったのだ。『勝ちすぎてごめんなさい』などと、シグはそんな出来た人格者のような言葉を吐いていたのだ。
「そして、更に言えばだが。自分に?ついてる虚像────そんなもんに勝っても嬉しくねえ」
完璧に己の矮小さを叩きつけられ呆けるシグに、空はなおも告げる。その感情は、シグもつい先刻抱いていた────壊れた空に、そんな感情を抱
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