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ドリトル先生と奇麗な薔薇園
第十二幕その七
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「それでちゃぶ台があってお茶もね」
「日本のお茶でだね」
「ええ、兄さんもすっかりね」
「日本に入っているかな」
「物凄く馴染んでるわ」
 今は作務衣を着ている先生を見て答えました。
「今の服だってね」
「作務衣を着てもだね」
「凄く似合ってるわ」
 そうだというのです。
「着こなしているわね」
「動きやすいし夏は快適でいい服だよ」
「そうなのね」
「あと夏は浴衣もいいしね」
「冬はどてらって服着てたわね」
「あれもいいものだよ」
 先生はサラに一緒にお茶を飲みながら答えました。
「冬はあの服だね」
「そうなのね」
「うん、それでだね」
「ええ、今日も顔見世に来たわ」 
 それでこのお家まで来たというのです。
「そうさせてもらったわ」
「元気そうだね」
「お陰様でね、うちの人も子供達も元気よ」
「それは何よりだよ」
「会社も堅実な調子だし」
「そのこともよかったね」
「ええ、兄さんも元気そうね」
 サラは血色のいいお顔でにこにことしている先生を見て微笑んで言いました。
「何よりよ」
「うん、見ての通り元気だよ」
「身体何処も壊してないのね」
「健康診断では健康そのものだったよ」
「それはいいことね」
「最近はよく植物園の薔薇園を観ているしね」
「あら、またお花に凝ってるの」
 サラはお兄さんの今のお言葉にこう返しました。
「兄さん何度かお花の研究に没頭してきたけれど」
「僕は植物学者でもあるからね」
「それで論文も書いて博士号も持ってるしね」
「それで凝ってるって言ったんだね」
「そうよ、じゃあ今度は薔薇の論文書くの」
「いや、論文は別の分野のものを書いているよ」
 今はそうしているというのです。
「物理についてのね」
「物理なの」
「そうだよ」
「私物理はいいわ」
 こちらの学問と聞いてすぐに暗いお顔になったサラでした、声にもそうしたものがはっきりと出ています。
「苦手だから」
「サラは昔から理系は苦手だね」
「ええ、だから物理とか数学はね」
 こうした分野はというのです。
「いいわ」
「そうなんだね」
「別にね、それでお話を戻すけれど」
「うん、薔薇のことだね」
「学問として凝ってはいないのね」 
 先生のこれまでのことからこう考えるのでした。
「今回は」
「ちょっと植物園の薔薇園の虫退治の相談を受けてからね」
「それからなの」
「うん、舞台の相談を受けて薔薇を使ってはどうかとか薔薇にまつわるお話をしていて」
「それで今は薔薇に凝ってるのね」
「凝ってるっていうか縁が深いね」
 そうなっていることをです、先生は妹さんにお話しました。
「今は」
「そういうことなのね」
「そうなんだ」
「その辺りの事情はわかったわ」

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