第9話
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て親の七光りではないことを証明したいとガルマ本人は地球降下作戦に非常に前向きで、ドズルはその健気な様子にガルマを応援する様を見せてはいるが、元がデギン同様ガルマを溺愛しているドズルであるから、その二人が仲良く話し合ったらどう転ぶかわからない。というより、ギレンと違って父親に従順、厳つい外見に反して身内に弱いドズルのことだ、簡単にデギンに取り込まれてしまうだろう。こういった訳で、消去法の結果、デギン公王の御守りをするのは長女キシリアとなったのだ。
ガルマの件は重要な役目である。それはわかる。だが、野良犬の件も相当に重要な案件ではないのか? この危急に際してホウ・レン・ソウのできない上司だったとは!
つまりマ・クベは誰にも相談出来ない中、勢いだけで行動したと言ってよい。勢いというのは一時的なものであるから、今のマ・クベには無い。元々が激情に任せてどこまでも行動するような男ではなかったし、実際の野良犬の様子に怒りを忘れるほど驚いてもいたのだ。
野良犬の乗機、ジオンの巨人以外の巨人。その全高はザクよりだいぶ小さく、ザクの18メートルに対して12メートル程だろうか。歩行速度はザクと大差ないようだったが、一度ブースターに点火してホバー移動をすれば時速500キロメートル以上。全身が輝きに包まれる高速移動状態なら楽々音速突破。とてつもない推力だ。
これを自ら確認したマ・クベの中で、野良犬がツィマッド社のひも付きというという疑惑はいまだ否定の割合が多いにせよ、ますます濃く、深くなっていた。
人型の良さを追求した人間の延長としてのバランス重視ではなく、極端なまでの推力偏重というコンセプトはツィマッド社のEMS―04に似ている。しかし、似ているのはそこだけだ。EMS―04を含めて、明らかに既存のモビルスーツとは違い過ぎる。EMS―04とは開発コンセプトが同じだけの、似て非なるもの。ツィマッド社とは何の関連もない……と考えるのが自然なのだが、それじゃあこいつらは何者だ、という問いが立ちはだかる。そして、EMS―04とは違うとしても、やはりツィマッド社と繋がりを思わせる節があった。
地球侵攻軍の総司令官であるマ・クベには、ジオニック社、ツィマッド社、MIP社などから彼ら曰くの『良いお話』が殺到している。新兵器の採用過程にマ・クベは関与しないが、地上で実際に使うのはマ・クベ率いる地球侵攻軍だ。試験に責任を持つのは技術本部、採用を決めるのは統帥部だが、直接運用する組織の長がマ・クベなのだから、マ・クベの推薦=現場の求める声である。その為、次期主力モビルスーツの開発計画の情報が黙っていても、嫌というほど持ち込まれるのだ。その情報によれば、目の前の樽のお化けは現在ツィマッド社が開発している陸戦用の重モビルスーツによく似ている。樽のお化けの方がだいぶゴツいが
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