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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
19話:法人設立
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なのだから、その当人が少なくとも幸せになる気がなければ任せられないだろうというと、区切りがついたら自分の幸せも考えると約束してくれた。

おそらくだが、浮気されて軍に志願した時と、捕虜になった時の2回、自分の人生を諦めたのだと思う。だからこそ区切りがついたらという形で猶予は設けたが、いつか男爵が新しい幸せを見つけてくれればいいなと思っている。
同行してくれた資材部の士官は、難癖を付けられても困るので適度に接待しながらお付き合い頂いた。別れ際に、父上には良くしてくれたと申し伝えますと言うと、満足げだった。実力を示してえらくなればまたご縁があるかもしれない。

話は戻るが、法人の設立だ。なぜ、法人の設立をするかというと、現状の組織だと領外に投資することが、厳しいからだ。仮にルントシュテット領が発展しきっていて福祉の面でも充実していれば可能性はあるかもしれないが、多くの領民を新たに受け入れ、他領に比べれば恵まれた統治が行われているが、予算が自領以外に投資されるとしたら不満を感じるはずだ。前世で言えば、自分たちの生活も決して楽ではないのに、他国に税金が投入されるようなものだろう。

だが、辺境星域と首都オーディンをつなぐ立地のシャンタウ星域は、辺境星域が発展するほど恩恵が受けられる。なので、惑星ルントシュテットが成長限界を迎える前に、辺境星域の発展を促す形で経済活動を活発にし、新たに生まれる利権から定期的な収益を得られるように動きたかった。

そういう訳で名目上ルントシュテット領から切り離して、投資を行う組織として法人が必要になる。法人設立の準備の最後の仕上げがこれから行われるのだが、さすがの伯爵家だ。法務局の担当者がわざわざ屋敷にきて、手続してくれるらしい。

俺は辺境エリアの資料を見ながら、オーディンの屋敷で担当者の到着を待っていた。すると聞きなれたカツカツ音がしてノックがされるとおばあ様が部屋に入ってきた。

「ザイトリッツ、宜しいかしら?あなたが当家に不利益になるような事はしないと皆が信じていますが、設立の前にもう一度、思う所を説明してほしいのです。特にニクラウスはまた貴方が好き勝手するのではと不安なようですし。」

「左様ですか、おばあさま。造船ドックの件やら、帰還兵らの受け入れやらで前代未聞のことが多くございました。父上のご不安もごもっともな事でしょう。お時間を頂けるなら、ご安心頂くためにもご説明いたしましょう。」

「それでこそレオンハルト様の生まれ代わりです。あの方も家族の不安にはしっかり配慮されておりました。」

おばあ様は悦に入りだした。ケーフェンヒラー男爵からも話を聞いたが、爺さまは伯爵家当主としては、門閥貴族を基準とすると傑物と言っていい人物だ。戦死していなければ宇宙艦隊司令長官の芽もあったと思う。正直、
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