純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 7
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「…………戻っても良いわよ」
「?」
「その背格好じゃ、お手伝い係として満足に動けないでしょ? 大人の姿になっても良いわよって意味」
「嫌じゃないのか?」
「私個人の感情より、お世話になっている人への還元のほうが重要なのよ」
「嫌ではあるんだな」
「当然でしょ」
誰が好き好んで、活き活き動き回る仇敵の姿を観賞したがるものですか。
「なら、別人になろう」
「教会関係者はダメよ。後々の辻褄合わせが大変そうだもの」
「ウェルスやアルフリードは」
「殴り飛ばすわよ」
「ごめんなさい」
腰折り、綺麗な九十度。
やるわね。
「別に、貴方自身で良いわよ。「そうか」どうせ炊き出しのあい……あ?」
投げやり気分な提案に、返答を被せたレゾネクトの右腕が真上へと伸び。
一拍後、正面の空間を切り裂くかのように振り下ろされ。
その動作に注意を奪われた、瞬間。
「お前の前でなるな、とは言われなかったからな」
四歳くらい? の大人しい男の子が。
二十代後半くらいの、憂いを帯びた絶世の美女に様変わりした。
その顔は、青年姿のレゾネクトを女性にしたらこうなるって感じで……
「…………私の本体より、胸が……大きい…………ッッ??」
「そこ?? そこが問題なんですか??」
ギリリと歯を食いしばる私に、驚愕の声を上げるリースリンデ。
「だってこれ! どうせ『鏡』の力で作った虚像なんでしょう?? なのに、私より豊満で妖艶で魅力的な身体にするなんて?? なんの当てつ」
「? これも俺の実像だが」
「け………… へ?」
「元々、俺に明確な性別は無い」
「…………無い、の? 性別」
「どっちにもなれる」
「そ……う、……なの?」
こくりと頷く美女版レゾネクト。
思わず突きつけていた人差し指が、へにゃりと曲がって落ちる。
「ちなみに、性への拘りとか、は」
「俺自身の話なら、特に無い。望まれた形に合わせているだけだ」
「あー、そっかあ……。うん、解った。解りたくなかったけど、解ったわ。うん。その姿でお願い」
「分かった」
私の承諾を得て、厨房へと入っていくレゾネクト。
ほどなくして、木箱を開く音と、詰め物を取り除く音が聞こえてきた。
私が指示した通りに、ちゃんと手で作業をするらしい。
「……良いんですか? これで」
「良いのよ。なにもかもが私のせいだったって、改めて自覚したからね」
「聖天女様、の?」
そう。
アルフリードが最後に間違えてしまったのも。
アルフリードの記憶を視たレゾネクトが私に性的な暴行を働いたのも。
全部、短慮で脆弱だった私のせいなのよ。
もしも還る手段があるなら、あの日の私に
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