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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 7
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 良からぬ事態が起きているのではと、書状を受け取りながら慎重な姿勢で問いかけるアーレストさんに、子供のレゾネクト(?)は無表情で答えた。

「プリシラおねえちゃまだ」

「ぐふっ」
「きゃあ?? 聖天女様、しっかり!」
「だ、大丈夫……」

 (むせ)た私を心配してくれるのは嬉しいんだけど。
 顔の周辺に来たら、呼気で吹き飛ばしちゃうわよ、リースリンデ。

「…………おねえ、ちゃま?」
「そう呼べと言われた」

 物凄い怪訝な顔のアーレストさんに頷く、子供のレゾネクト(?)。

「『お姉様』、じゃなくて?」
「「小さな男の子が一生懸命『お姉様』って呼びかけようとしているのに、どうしてもちょっと舌足らずな感じになっちゃうから『おねえちゃま』! これ、最っ高に可愛くない?? 可愛いわよね?? ねっ??」で、こうなった。『おねえちゃま』か、もしくは『おねえしゃま』以外は認めないらしい」

 それを大人しく実行してるの??
 王都から遠く離れた、本人には聞こえてない筈のこの場所に来てまで??

「本物の悪魔を相手に、何しちゃってるのよ、あの女性(ひと)は……」

 頭が痛いとうつむき、自らの額を右手の指先で押さえるアーレストさん。
 ついでにさらりと何度も呟かれてるけど、やっぱりこの子は悪魔なのね。

「貴方のその姿も、プリシラさんの指示なの? レゾネクト」
「! 『レゾネクト』?」
「いや」

 レゾネクトが、顔を跳ね上げたアーレストさんから私へと視線を移し。
 首を横に振る。

「外見の年齢を多少下に合わせておけば、お前と対面することになっても、怒られないんじゃないかと思ったから」

「「「………………。」」」

「……え、っ……と。怒られたくなかった……の?」
「殺意や憎悪や嫌悪や拒絶には慣れているが、怒られるのは、なんか怖い」

 待って。
 ちょっと待って。
 そこで頷かないで、元魔王。
 すっごく反応に困るんだけど。

「……貴方に、その類いの恐怖を感じる精神があるとは思わなかったわ」
「俺もプリシラおねえちゃまに怒られて初めて知った。女は全般的に本気で怒らせないほうが良い。怒らせたら削られる。なんか、いろいろ削られる」
「中央教会で何をされたの、貴方??」
「言いたくない」

 紫色の両目から生気が喪失。
 色白な顔や指先が更に色を失くし、直立したままぴるぴる震え出した。

 あの、世界中に災厄を振り撒いていた悪魔の王、レゾネクトが。
 女性一人の怒りを受けた程度で、ここまで極端に怯えるなんて。

「プリシラさん……何者……?」
「悪いことは言わない。プリシラおねえちゃまを、詮索するな、逆らうな。命や個としての尊厳を失うより、も
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