暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 7
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わせても、それらはレゾネクトを幼くしたような印象だ。
 つまり、ここに立っているのは、紛れもなくレゾネクトの筈で……
 いえ、でも、子供? どうして子供なの?
 そっくりな別人? 人違い? 幻覚?

「ヴぅウェーズゥウエぇードゥオォぉールァアアアぁぁああああああッ??」

 ………………ん?

 ずどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど

「ぅぉおまあえぇえええええ?? よくものこのこと、私の手が届く範囲内に顔を出せたモンだなぁあああ────…………って、……あれ?」

 キキキィぃ────────ぃっ??

「…………べゼドラじゃ……ない?」

 礼拝堂でお説教をしていた筈のアーレストさんが、殺気立った悪魔よりも凶悪な顔つきで、砂埃を巻き上げながら閃光より速く走ってきた。そして、レゾネクト色の子供を捕捉すると同時に、戸惑う私達の近くで急停止する。
 一拍後、時間差で迫ってきた凄まじい風圧。
 私の帽子とリースリンデが飛ばされそうになり、咄嗟に両手で押さえた。

「……アー、さん……?」
「すみません。少々取り乱してしまいました」

 立て続けに訪れた衝撃的展開のどこに驚けば良いか判らなくなったらしいリースリンデが、帽子と手のひらの間からおずおずと顔を出し、通常仕様に戻ったアーレストさんの笑顔を見て口元を引き攣らせてる。

 私も、ちょっと……いえ、かなり驚いたわ。
 普段は穏やかで礼儀正しいアーレストさんにも、こんな一面があるのね。

「アーレストか。ちょうど良い」
「え?」

 突風を浴びても髪先以外微動だにしなかった子供のレゾネクト(?)が、懐から折り畳まれている長方形のちょっと小さめな書状を取り出して広げ、アーレストさんへ向けて掲げた。

「「つい先刻、王都の時間で十六時頃。そちらの教会へ急ぎの鳥を放った。受け取り次第、ソレスタ神父と一緒に中央教会へ戻りなさい」だそうだ」
「「「…………っ??」」」

 私とリースリンデ、アーレストさんが、全員同時に息を呑んだ。
 静電気のようなビリリとした緊張感が全身を駆け巡る。

 『中央教会へ戻れ』
 ということは、彼の言葉と書状は、中央教会の権力者から預かった物。

 人間の権力者が何故、子供のレゾネクト(?)に書状を預けているの?
 先月でも先週でも昨日でもなく『つい先刻』の十六時頃と言うからには、この子が長距離を短時間で移動できる人外生物だと判っているのよね?
 いったい、どういう繋がり?

 しかも、信徒数が少ない教会から撤収させるのならともかく、それなりの規模を誇っている街の教会を空にさせようなんて、何事なの?

「人間ではない貴方に私達への辞令を託したのは、大司教様? それとも、次期大司教様?」

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