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真田十勇士
巻ノ百五十二 迎えに向かう者達その六
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「私も」
「ではな」
「お互いに」
「秘術を出すか」
「そうしましょう、では」
「行くぞ」
「どちらの秘術が上か」
「勝負じゃ」
 こう言い合いだ、そしてだった。
 猿飛も雷獣もそれぞれの秘術を出した、雷獣がだった。
 右手に雷を宿らせた、その右手を前に肩の高さで突き出すと。
 雷の帯が右手から幾つも荒れ狂って出て場を乱れ飛びだした、そうして猿飛もだった。
 木の葉を出した、それも一枚ではなくまるで森の木の木の葉を全て集めたかの如き数の木の葉を木の葉隠れの術として出した、その木の葉一枚一枚に気と刃を仕込み雷獣が放った荒れ狂う雷達に対した。
 双方互いに潰し合い消し合う、両者は雷と木の葉が消える度に新たなものを出す、そうして互いの力の限りを尽くした。
 その中でどちらが先に尽きるかとなった、そして先に尽きたのは。
 雷獣だった、雷獣が放つ雷が付き最後の雷も消された、だが猿飛の木の葉もここで突き雷獣の雷を受けて残り一枚となり。
 その残り一枚が雷獣の右手の甲をかすめ切った、その甲にうっすらと血が滲み赤い血を見てだった。
 雷獣は猿飛に顔を向けて彼にこう告げたのだった。
「お見事です」
「わしの勝ちじゃな」
「はい、今のが私の最大の秘術でしたが」
「わしも今のがな」
「最大の秘術でしたか」
「木の葉隠れの術でも最大のものであったわ」
 それが猿飛の秘術だったのだ。
「しかしその秘術を残り一枚まで減らすとはな」
「そのことがですか」
「見事じゃ、しかしな」
「はい、勝ったのは貴殿です」
 このことは間違いないとだ、雷獣は猿飛に話した。
「私の雷は全て消えましたが」
「わしの木の葉は残ったからじゃな」
「貴殿の勝ちです」
「そうか」
「はい、では私の首を」
「ははは、そんなものはいらんわ」
 猿飛は雷獣の今の言葉は笑い飛ばした、実に明るい笑い声だった。
「勝った、それならじゃ」
「それでいいというのですか」
「うむ、お主の首なぞいらん」
「そうですか」
「ただ一つ行わせてもらう」
「ご主君のところにですね」
「行かせてもらう」
 幸村、彼のところにというのだ。
「そうさせてもらう」
「そうですか、それでは」
「もう会うことはないがな」
「そうですね、戦は終わりましたし」
「お主達との因縁も終わった」 
 真田と幕府、それのというのだ。
「だからな」
「それは真田殿が半蔵様に勝つということでしょうか」
「そう言えば何と言う」
「有り得ぬとだけ申し上げます」
 半蔵の強さを知っているが故の言葉だ、十二神将は服部の人格だけでなくその強さにも魅入られ絶対の忠誠を誓っているのだ。
 だからだ、猿飛にも言うのだ。
「それは」
「しかし因縁は終わるな」
「はい、それ
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